euglena Project

39

CFO(最高未来責任者)を
募集・選考せよ。

18歳以下限定のCFO採用プロジェクト

2019.08 –

継続中

取締役会に意思決定を迫ったCFOの言葉

「ユーグレナを改革するプランを提案します」

その場にいる誰もがハッとした。ユーグレナ社の取締役会でのことだ。発言の主は、17歳(高校2年生)でユーグレナ社の初代CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)に就任した小澤杏子だ。

小澤を中心にして、同じく18歳以下のメンバーで構成されるユーグレナフューチャーサミットの9人のメンバーが就任したのは2019年10月のこと。以降、メンバーはサステナブルな未来をつくためにユーグレナとして何をすべきか、何ができるかの議論を何回も重ね、「消費者が意識せずとも環境に配慮した行動をとれる仕組みの構築」を目指すべきとの結論に達し、実行に向けて動いてきた。

多いときは週に何度も議論を重ね、取締役会に対し、プラスチック使用の削減を含むいくつもの施策実施を迫った。取締役会の決議を経て社内外と打ち合わせを重ねた結果、最終的には、「2021年までに商品に使用される石油由来プラスチック使用量の50%削減に挑戦する」という目標に合意し、既存ペットボトル商品の全廃と、一部商品におけるプラスチックストローの有無を消費者が選択できるようにする施策の実行を決定した。もともと、ペットボトル廃止の案は社内でもあったが、販売への影響を考えて踏み切れずにいた。その思いを17歳のCFOとその仲間たちが実現させたのだ。

CFOの募集・選考に携わり、フューチャーサミットの企画・運営も務める的場は、「小澤をはじめとしたサミットメンバーの本気が、会社を動かした」と振り返る。

第1回フューチャーサミット開催の様子(2019年12月実施)

CFOによる提案から決定した当社の挑戦

日本にも、
地球の未来に課題意識を持つ
若者がたくさんいるはず

2018年に新卒入社した的場。学生時代には英国イーストアングリア大学で開発環境学を専攻し、環境問題や貧困問題を考え続けてきた。ユーグレナ社に入社したのは「社会問題に真正面から向き合っている理念に共感したから」だと話す。

経営企画課に配属されてIR(投資家向け広報)を担当していた的場は、2年目に「18歳以下限定のCFO採用プロジェクト」に担当者として抜てきされることとなる。

プロジェクトのきっかけは、取締役副社長の永田暁彦が2019年に小学校を訪問し、子どもたちが地球の未来に高い関心を寄せていると知ったことだった。「未来のことを議論する場に、未来の当事者がいないのはおかしい」。その疑問から、18歳以下のメンバーたちが会社経営に参画するという前代未聞のプロジェクトが動き始めたのだ。

「永田をはじめとした経営陣が本気でこのプロジェクトを進めようと考えていることが伝わってきた。欧米では10代の若者が環境問題に本気で取り組む姿がクローズアップされているが、日本にも地球の未来に問題意識を持つ若者がたくさんいるはずだと確信していた」

学生時代の的場

「アイデアの新規性」と
「ユーグレナ社とともに
課題解決に取り組む熱意」を求めて

過去に類を見ない採用活動は、「新聞の一面広告」によって世に知れ渡っていく。

18歳以下という募集対象年齢を考えれば、新聞よりもウェブやSNSを中心としたアプローチのほうが効率的なのではないかとも思える。しかしそこには明確な狙いがあった。

想定したのは、新聞広告によって“家族での会話”が生まれること。単純に若い人に情報を届けるだけではなく、ユーグレナ社のCFO募集が家庭内でサステナビリティを考える新たなきっかけになれば、と企画チームは考えていた。

結果的にこの新聞広告はネット上でも話題となり、広く拡散されていくこととなった。

工夫を凝らしたのは募集告知だけではない。選考プロセスにおいては、「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の17のゴールのなかで関心のあるものと、そのゴールを達成するためにユーグレナ社で取り組みたいこと」を1200文字以内で書くという課題を設けた。

重視したのはアイデアの新規性、そしてユーグレナ社とともに課題解決に取り組む熱意。選考時点では、年齢も性別も、名前も住所も見ず応募課題の内容のみで判断した。SDGsを題材とした地球の未来への思いと、そのために起こしたいと考えているアクションだけを求めていったのだ。

CFO募集の新聞広告

寄せられた511件の応募、
エネルギーに満ちた面接の時間

入社2年目の的場には、不安な気持ちがつきまとっていた。

「前例のないミッションであり、かつ抽象的な『未来の世代に会社経営の議論に参加してもらう』という企画。何が成功要件なのか、1年後にどうなっていればこの企画は成功だと言えるのかも、当初は見えなかった」

そんななか、2019年8月9日に募集を開始し、募集締切の同月末までに511件もの応募が集まった。小学生から高校生まで、多くの若者が問題意識や思いを寄せてくれたことが、的場には何よりの喜びだったという。「みなさんと一緒に何ができるのかを考えた。単なる採用担当者としてではなく、一緒にプロジェクトを動かしていく者としての意識が芽生えていった」と振り返る。

的場は一次選考に関わる他のメンバーとともにすべての応募課題の内容を読み、二次面接に向けて511人を30人強の候補者へと絞り込んでいった。面接は3日間の日程で朝から晩までを組み、全員と会った。

「面接は本当にエネルギーに満ちた時間だった。作成した資料をタブレットで見せながらプレゼンテーションをしてくれた人、事前に学校でアンケートを取りデータを持参してくれた人、未来への思いを絵に描いて表現してくれた人。『こんな人が将来の起業家になるんだろうな』と感じるようなカリスマ性を持つ人もおり、さまざまな個性と出会うことができた」

面接によってフューチャーサミットのメンバーを決定。さらにCFOの最終候補を絞り込み、代表取締役社長の出雲と、副社長の永田による最終面談へ進んでもらった。

そうして初代CFOに決定したのが、当時高校2年生の小澤杏子だった。

左から永田、初代CFO小澤、出雲

ユーグレナ社を媒体として活用し、
若い世代の思いを伝えてほしい

「小澤は、広い視野をもち、オピニオンリーダーだと思わせるカリスマ性や誰が相手でも物怖じせずに堂々と話せる芯の強さがある。問題意識を行動に結びつけてアプローチするフットワークも魅力的だった」

的場がそう評するように、小澤は福島の原発問題に関心を持ち、現場へと足を運んでいたこともある。

「問題意識を持ち、向き合って行動している」、「メディアで情報を得るだけではなく、『これは本当に正しいのか?』という疑問を持って自ら情報を取りにいっている」。出雲や永田もそうした姿勢を評価してCFOを任せたのだった。

そして、実際に小澤とサミットメンバーはユーグレナ社を変えた。

「『2030年や2050年の段階でどうなっていればいいか』だけを話しているのは、何もしようとしていないのと同じ。今、何をするのかを決めて動かなければいけない」

的場は、CFOと共に活動するチームの一員として、そんな会話を経営陣や小澤と繰り返したという。冒頭で紹介した「2021年までに商品に使用される石油由来プラスチック使用量の50%削減に挑戦する」という短期的かつ明確な目標を打ち立てられたのは、会社として「今、何をするのか」を考え続けた成果だ。

「CFO採用プロジェクトや、その後の活動の意味は、若い世代の思いを“ただ思っているだけにしない”ということだった。選挙権もなければ企業で働いているわけでもない。そんな若い世代でも、私たちを媒体としてうまく活用し、思いを伝えてほしいと思っている。そうして社会を動かせれば、ユーグレナ社にとっても大きな力になる」

2019年10月に始動した初代CFOとのプロジェクトは、まもなく一区切りを迎える。そして的場は、開始したばかりの2代目CFO募集に向けて思いを新たにしている。

フューチャーサミットで話す的場

2020年8月掲出

euglena Data

~初代CFOとサミットメンバー~

CFO紹介ページはこちら

euglena Projects

vol.00

バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。

vol.01

誰もなし得ていない、ユーグレナの
屋外大量培養技術を確立せよ。

vol.02

ユーグレナを
300億円市場に育て上げよ。

vol.03

バングラデシュの
全ての小学校に給食を。

vol.04

煙突から排出されるCO2
ユーグレナを培養せよ。

vol.05

ユーグレナの化粧品事業を
立ち上げよ。

vol.06

日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。

vol.07

「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。

vol.08

中国にユーグレナを
普及せよ。

vol.09

スーパーユーグレナを
獲得せよ。

vol.10

バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。

vol.11

ユーグレナでタケダと
新商品を開発せよ。

vol.12

下水処理場の下水を活用し、
ユーグレナを培養せよ。

vol.13

ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。

vol.14

日本独自の技術で、
ユーグレナを培養せよ。

vol.15

仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。

vol.16

ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。

vol.17

ユーグレナで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。

vol.18

ユーグレナの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ

vol.19

ユーグレナのカフェを
石垣島で開店せよ。

vol.20

ユーグレナを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。

vol.21

ユーグレナ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。

vol.22

ユーグレナを使った
バイオ燃料を生産せよ。

vol.23

研究系ベンチャーを
ヒト、モノ、カネで支える
新しいファンドを確立せよ。

©2018 MELTIN MMI

vol.24

ユーグレナとクロレラで世界初の
ASC-MSC藻類認証を取得せよ。

vol.25

グループ企業との
シナジーを構築せよ。

vol.26

新しい仲間と、
遺伝子レベルで人を健康にせよ。

vol.27

自由が丘と
ユーグレナを普及せよ。

vol.28

ユーグレナサプリメントの
加工工場を立ち上げよ。

vol.29

理科のチカラで石垣島の
地域活性に貢献せよ。

vol.30

新しいユーグレナの
基幹化粧品を開発せよ。

vol.31

ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。

vol.32

ユーグレナ由来の美容成分を
研究解明せよ。

vol.33

学生のチャレンジを応援!
通年採用を開始せよ。

vol.34

ユーグレナとクロレラで
ハラール認証を取得せよ。

vol.35

健康寿命を伸ばすユーグレナの
可能性を発見せよ。

vol.36

竹富島のクルマエビ養殖事業を
発展させよ。

vol.37

「G20軽井沢」にてユーグレナバイオディーゼル燃料で自動車を走らせよ。

vol.38

石垣島ユーグレナの魅力を伝えるキャラクターを企画せよ。

vol.39

CFO(最高未来責任者)を募集・選考せよ。

vol.40

国産カラハリスイカを
栽培せよ。

vol.41

日本初となる「バーチャルオンリー
株主総会」を開催せよ。

vol.42

次世代バイオディーゼル燃料を
普及させよ。

vol.43

コーポレート・
アイデンティティを刷新せよ。

vol.44

石垣島生まれの
ユーグレナを浸透させよ。

vol.45

ユーグレナ由来の
肥料研究を加速させよ。

vol.46

日本の空をバイオ燃料で
クリーンにせよ。

vol.47

オフィス環境を改善し、
仲間の生産性を向上させよ。

vol.48

化粧品における
サステナビリティを追求せよ

vol.49

次の新素材「ミドリ麹」の
価値を世に拡げよ。

vol.50

ユーグレナの
ESG経営を加速させよ

vol.51

未来世代アドバイザリーボードを
設置せよ。