euglena Project
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未来世代アドバイザリー
ボードを設置せよ。
CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)から
未来世代との新たな共創にチャレンジ
2024.02 –
継続中
CFOのポジション設置から
4年の活動を振り返り
未来世代との取り組みを進化させた
ユーグレナ社の革新的なサステナビリティの取り組みと言えば、CFO(Chief Future Officer: 最高未来責任者)だ。「未来の当事者」として18歳以下を条件にCFOを一般公募し、未来世代の声を経営の意思決定に反映してきた。いまや未来世代の声を聴く取り組みは広く認知され、行政や企業でも広がってきた。CFOというポジションの採用も広がりを見せている。
一方で、2019年の取り組み開始から4年が経ち、これまで3代のCFOが成し遂げたこと、会社にとっての意義を今一度振り返るタイミングが来ていた。社会やユーグレナ社にとってCFOがどのような影響をもたらしたのか。振り返りを行うなかで、今後の未来世代との取り組みをアップデートする必要性があった。
入社1年足らずで、この大きな移行フェーズを牽引したユーグレナ社サステナビリティ推進部 部長の宮澤郁穂が、改めてCFOを採用した意義と今後の新たなチャレンジ、そしてこれからの取り組みになる「未来世代アドバイザリーボード」の設置に至った背景とその目的を語る。
目指したことは
CFOのような存在の
将来世代の母数を増やし
社会を変革すること
そもそも、なぜ18歳以下のCFO(Chief Future Officer: 最高未来責任者)が誕生したのか。CFO達の提言内容だけでなく、具体的に社内外にどんなインパクトを与えたのか。私がCFOの取り組みに従事したこの1年間でよく問われた質問です。
データで見れば、世界では1981~1996年生まれの「ミレニアル世代」、1990~2010年代生まれの「Z世代」が産業の中心になっており、この2世代は、日本でも2025年以降に労働人口全体の50%を超え、社会をリードする存在になると言われています。
CFOを採用したのは、ユーグレナ・フィロソフィー「Sustainability First」を掲げる企業として、経営の意思決定に「未来視点」を反映させ、事業成長と社会課題解決を後押しするためです。CFOのような存在、同じようなサステナビリティの意識を持ち、社会課題解決したいという熱い想いで行動できる将来世代を増やし、そして彼女ら彼らに共感する企業を増やすことで、社会を変革していきたいという経営の想いもありました。
CFOのポジション設置をきっかけに
自社のサステナビリティの
取り組みが加速し
サステナビリティ専門チームの
発足にまで至った
これまで3名のCFO(Chief Future Officer: 最高未来責任者)が主体となって、CFOと活動を共にする同じく18歳以下のFuture サミットメンバーと共に様々な取り組みを実施してきました。冒頭の問いにある通り、今回の振り返りでは、特にCFOが社内にどんな変化をもたらしたのか、CFOを通して社会を変革させられたかを中心に、投資家やユーグレナ社の仲間をはじめとするステークホルダーや歴代CFOへのヒアリングを行いました。振り返りをして初めて、CFOを取り巻く社内外の変化と現在の立ち位置が見えてきました。
2019年にCFOの取り組みを開始したころは、社内のサステナビリティ推進、特に商品におけるサステナビリティの体現はさほど進められていませんでした。そんな中、初代CFO小澤杏子さんから商品のプラスチック削減という革新的な提言があり、社内的には大変革でした。飲料のペットボトル廃止や食品・化粧品パッケージでのバイオマスプラスチックの採用は従来よりコスト高になるため、これまで何度も仲間がトライしてもコストとの兼ね合いで舵を切ることができなかったと聞いています。それを小澤さん達未来世代から、彼女彼らが大人になる将来を考えたら「今、ユーグレナもやるべき」、「なぜサステナビリティを軸としている企業がやらないのか」、と鋭く経営層に問いかけ、従来の課題を突破し、会社の方向性を変えたのが初代の取り組みでした。
2代目CFOの川﨑レナさんは、2020年に始まったコロナ禍でオンラインでの打ち合わせが続き、Futureサミットメンバーと直接会えなかったり、会社の様子がわかりにくかったりと苦労が続きましたが、ペアレンツ制度という仲間に寄り添った提案をしてくれました。コロナ禍ではありましたが、ユーグレナ社は積極的に採用をしており、新しい仲間がより早く会社に慣れその人らしく実力を発揮できるよう、年齢や役職など関係なく所属部署以外の2名が親のように新しい仲間をフォローする仕組みです。
今もこの「ペアレンツ制度」は続いていて、部署間を超えたコミュニケーションの礎になっています。
3代目の渡部翠さんは、任期の途中で私の入社とともにサステナビリティ専門チームが立ち上がり、サステナビリティ委員会の委員長を務めるという難易度の高い任務を遂行して頂きました。また、仲間のヒアリングを通して、SDGsが定款に反映されている※にも関わらず、仲間一人一人がどんな課題に対して貢献していくのか自分事化ができていないという課題を見つけ、CFOとFutureサミットメンバーが考える10年後のユーグレナ社のあるべき姿(euglena SDGs=eSDGs)の提言がありました。
※ 2021年8月5日ニュースリリース「定款上の事業目的を、SDGsを反映した内容に全面刷新」
これは、ユーグレナ社がフィロソフィーである「Sustainability First」で目指す、「事業が成長すればするほど、社会課題の縮小につながる」ことの、社会課題にどの程度つなげたいのか、自社のマテリアリティ(重要課題)とは何か、それを仲間一人一人が意識して行動する必要がある、という提言だと捉えています。そして、その方向性と礎を作って頂きました。この提言を受けて、2024年から各事業の社会インパクトの言語化・定量化に本格的に取り組むことを決断し、今まさに取り組んでいるところです。
このように、歴代3代の置かれている状況を踏まえながらも、彼女たちが思う「人と地球を健康にする」未来を創造し、会社を本気でより良くするための提言をして頂きました。歴代のCFOのみなさんが、仲間の一員として未来をよりよくするためにすべきことを自ら提案することで、組織としてもより「Sustainability First」の意識が高まったと感じています。今回、歴代CFOの3名に改めてヒアリングさせて頂いたところ、活動の過程で、チームをまとめながら思いを形にする力を養うことで、自己成長に繋がったと語っています。これからCFO&Futureサミットメンバーのアルムナイも設置していきますし、CFOの任期終了後も、よりよい未来の実現に向けて輪を広げ、共創できることを期待しています。
- CFOとして構想から実行まで一貫して携われたことで、思い描いたものを、自分や組織で形にするやり方を理解できました。
- CFOとしての活動終了後も、さまざまな企業のSDGs活動の情報を積極的に収集し、本質的な活動なのか、より深く考えるようになりました。
- CFO活動を通して、誰であっても立場も役職も関係なくアクションを起こせると気がつきました。
- 任期終了後は所属団体での活動にて、より積極的に行動し、政治家だろうが企業の人だろうが巻き込めるようになりました。
- 学生のうちでは手に入らなかったであろう人脈、社会人としての成功体験が得られました。
- 経営層と話す経験を重ねることで、堂々と自分の意見を言えるようになり、自分の自信につながりました。
- 社会人の目線を知れ、相手の言葉の背景にある気持ちにまで思いを馳せられるようになったと感じています。
CFOのポジションを設置する企業も現れ
未来世代の声を聴く取り組みが
社会で当たり前になった
この数年でCFO(Chief Future Officer: 最高未来責任者)というポジションを設置する企業も現れ、行政や民間企業が未来世代の声を聴く取り組みを頻繁にメディアで見るようになりました。実際、CFOを設置したいがどんな運用をしているのか、とさまざまな企業や行政からの問い合わせも多くありますが、リソース制約や組織内理解の獲得の困難さ等でポジション設置まで至らない企業・行政が殆どの中、CFO設置企業などが生まれたことは本当に嬉しく思います。
例えば、2023年3月にCFOポジションを設置したSwimmy株式会社の代表取締役CEO菅原さんからは、当社との意見交換の際「自社がCFOのポジションをつくり、教育活動に活かすことで、少しでも社会課題解決につながるアクションを起こしたい。」とおっしゃっていました。一方、「活動を進める上での課題点も、可能な範囲で発信してもらえると参考になります。もっとリアルを知りたいです。」というご意見も頂いています。
- YouTubeの番組で、出雲さんがCFOについて語っていたのを視聴し、当社の事業で「子どもの教育と社会課題」に取り組む中で、教育を受けている若者の意見を取り入れる必要があると考え、CFOポジションを新設しました。
- CFOを中心にSwimmyサミットで、未来に向けて解決すべき教育課題について議論しています。ささやかなアクションでも、まずは”コト”を起こすことが大切だと考え、取り組んでいます。
期は熟した。
提言型のCFOから
共創型の未来世代
アドバイザリーボード設置へ
改めて当社にとって、未来の当事者である未来世代は、「Sustainability First」を体現していく上で、最も重要なステークホルダーの1つであると考えています。今回振り返りを行う中で、社内外でサステナビリティの取り組みが進んでいること、社内においてサステナビリティ専門チームが立ち上がったことなど、環境変化を改めて認識しました。会社としてサステナビリティに関する新しい提言をして頂くという「提言型」のCFO(Chief Future Officer: 最高未来責任者)の取り組みから、「未来世代アドバイザリーボード」を設置し、「対話」を通して、既存の取り組みのアップデートや新たな取り組みを一緒に企画するなどの共創に昇華させる必要があると思い、取締役会に上程し、新たなチャレンジとして決議されました。
今後は、これまで以上に、未来世代との共創における取り組みの進捗や課題、対話のプロセスなど、「共創」の過程を定期的に発信していきたいと考えています。そうすることで、未来世代との取り組みを共にアップデートしてくださる仲間がより一層、増えることを期待しています。
2024年1月掲出
登場人物
- サステナビリティ推進部 部長宮澤 郁穂
-
公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)研究員・広報担当、大手衣料品グローバルメーカーのサステナビリティ担当を経て、2023年1月に中途仲間として入社。
「未来世代との共創という新しいチャレンジを通して、『事業が成長すればするほど、社会課題の縮小につながる』を体現すべく、社会インパクトの可視化にも積極的に取り組んでいきます」
euglena Projects
vol.00
バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。
vol.01
誰もなし得ていない、ユーグレナの
屋外大量培養技術を確立せよ。
vol.02
ユーグレナを
300億円市場に育て上げよ。
vol.03
バングラデシュの
全ての小学校に給食を。
vol.04
煙突から排出されるCO2で
ユーグレナを培養せよ。
vol.05
ユーグレナの化粧品事業を
立ち上げよ。
vol.06
日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。
vol.07
「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。
vol.08
中国にユーグレナを
普及せよ。
vol.09
スーパーユーグレナを
獲得せよ。
vol.10
バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。
vol.11
ユーグレナでタケダと
新商品を開発せよ。
vol.12
下水処理場の下水を活用し、
ユーグレナを培養せよ。
vol.13
ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。
vol.14
日本独自の技術で、
ユーグレナを培養せよ。
vol.15
仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。
vol.16
ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。
vol.17
ユーグレナで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。
vol.18
ユーグレナの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ
vol.19
ユーグレナのカフェを
石垣島で開店せよ。
vol.20
ユーグレナを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。
vol.21
ユーグレナ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。
vol.22
ユーグレナを使った
バイオ燃料を生産せよ。
vol.23
研究系ベンチャーを
ヒト、モノ、カネで支える
新しいファンドを確立せよ。
©2018 MELTIN MMI
vol.24
ユーグレナとクロレラで世界初の
ASC-MSC藻類認証を取得せよ。
vol.25
グループ企業との
シナジーを構築せよ。
vol.26
新しい仲間と、
遺伝子レベルで人を健康にせよ。
vol.27
自由が丘と
ユーグレナを普及せよ。
vol.28
ユーグレナサプリメントの
加工工場を立ち上げよ。
vol.29
理科のチカラで石垣島の
地域活性に貢献せよ。
vol.30
新しいユーグレナの
基幹化粧品を開発せよ。
vol.31
ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。
vol.32
ユーグレナ由来の美容成分を
研究解明せよ。
vol.33
学生のチャレンジを応援!
通年採用を開始せよ。
vol.34
ユーグレナとクロレラで
ハラール認証を取得せよ。
vol.35
健康寿命を伸ばすユーグレナの
可能性を発見せよ。
vol.36
竹富島のクルマエビ養殖事業を
発展させよ。
vol.37
「G20軽井沢」にてユーグレナバイオディーゼル燃料で自動車を走らせよ。
vol.38
石垣島ユーグレナの魅力を伝えるキャラクターを企画せよ。
vol.39
CFO(最高未来責任者)を募集・選考せよ。
vol.40
国産カラハリスイカを
栽培せよ。
vol.41
日本初となる「バーチャルオンリー
株主総会」を開催せよ。
vol.42
次世代バイオディーゼル燃料を
普及させよ。
vol.43
コーポレート・
アイデンティティを刷新せよ。
vol.44
石垣島生まれの
ユーグレナを浸透させよ。
vol.45
ユーグレナ由来の
肥料研究を加速させよ。
vol.46
日本の空をバイオ燃料で
クリーンにせよ。
vol.47
オフィス環境を改善し、
仲間の生産性を向上させよ。
vol.48
化粧品における
サステナビリティを追求せよ
vol.49
次の新素材「ミドリ麹」の
価値を世に拡げよ。
vol.50
ユーグレナの
ESG経営を加速させよ
vol.51
未来世代アドバイザリーボードを
設置せよ。