euglena Project

07

「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。

日本科学未来館での『ミドリムシクッキー』販売

2009.05 – 2010.03

完了

「ミドリムシ」という名前の使用がタブーだった時代

実は、当社は2009年まで堂々と「ミドリムシ」という名前で商品を売ってこなかった。微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)はワカメや昆布と同じ藻の一種だが、ミドリムシという語感から青虫やイモムシの仲間だと思われてイメージが悪くなることを恐れていたのだ。当社が商品販売を開始した2006年から、営業の担当取締役(当時)の福本たちは商品にユーグレナと名付けて販売し、ゼロから消費者のイメージをつくる戦略をとっていた。

2009年4月、そんな状況下に研究員として新卒で入社したのが、今回のプロジェクトのメンバーである朝山だ。朝山が入社してから1カ月後の2009年5月、国の科学館である日本科学未来館から当社宛てに企画展への協力依頼があった。年に数回、企画展を実施して先端の科学技術がもたらす変化や新しい世界に焦点を当てる活動をしており、今回は食に関する企画展「’おいしく、食べる’の科学展」を開催するので「未来の食」のコーナーでミドリムシを取り上げたいというのだ。

「これは…!」
当時当社の仲間はわずか約20名。社内全体に共有された企画依頼のメールを見た朝山は、研究のバックグラウンドがあったためいち早く案件のよさに気づき、自ら志願して担当者となった。

2009年入社当時の朝山

「ミドリムシ」という名前を武器にするまで

朝山は、日本科学未来館とやり取りする中で「お土産を作りたいのだがどうか?」という提案を受けた。「未来の食というテーマなので、未来の食料であるミドリムシの味と風味が分かるものを作りたい。お客さまにとってお土産はネタになるものであればあるほど面白いし、どうだろうか?」というのだ。

「ネタになるものか…。これだ!」
朝山がひらめいたのは、これまでタブーとされていた「ミドリムシ」という名前をつけてクッキーを売ることだった。

朝山はさっそく取締役の福本に提案した。
「福本さん、これは絶対にチャンスです。日本科学未来館は日本でトップクラスの科学館です。科学を正しく伝えることが役割の人たちが運営しているので、面白がるだけでなくミドリムシの素晴らしさをちゃんと伝えてくれるはずです。ここで『ミドリムシクッキー』と名付けて商品を売ってみましょう!」

福本は、新卒の仲間からの突拍子もない提案に思わず渋った。それもそのはず、この提案を受け入れたら「ミドリムシ」ではなく「ユーグレナ」という名前で商品を世の中に定着させようとしてきたこれまでの戦略が崩れてしまう…。ただ、「ミドリムシ」という名前で商品を売ったこともなく、それが本当に売れないのか確かめたことはなかった。
「よし。そんなに言うなら試してみるか。ただし、クッキーの賞味期限の1年以内に在庫予定となる1万箱は売り切ってくれ」
営業担当であった村花も、
「僕も協力するからやってみよう」
と1万箱売ることを約束してくれた。

2009年11月、ついに日本科学未来館の展示会の開催と同時に『ミドリムシクッキー』の販売を開始した。
すると、『ミドリムシクッキー』というキャッチーな名前が、来場者のみならずメディアの注目を集め、テレビや新聞などで頻繁に取り上げられた。たちまち『ミドリムシクッキー』は月に2,000~3,000箱ほど飛ぶように売れ、朝山と村花は期限を待たずして1万箱を売り切った。

日本科学未来館でミドリムシクッキーを販売しているときの様子(2009年11月撮影)

メディアに取り上げられるたびに、少しずつ世の中にユーグレナは体にいいらしいというイメージが広がった。さらにその広がりが当社のその他商品の売り上げにも良い影響を与えた。そう、まさにこの『ミドリムシクッキー』が「ミドリムシ」という名前を世間に広めるきっかけをつくったのだ。

企画展「’おいしく、食べる’の科学展」終了後も、ミドリムシクッキーは日本科学館内の「Miraikan Shop」で販売されており、2017年8月も売り上げ1位の大人気商品だ。

2017年8月掲出

euglena Data

『ミドリムシクッキー』のパッケージ。
「お客さまがお土産にしてネタになる」という観点から、
1枚にユーグレナが2億個入っていることを記載。

登場人物

ヘルスケア事業本部
ライフサイエンス研究課 課長
朝山 雄太

2009年4月、新卒入社。新卒入社して1カ月後に日本科学未来館のプロジェクトを担当する。現在は、ライフサイエンス研究課にて、素材機能性の応用研究、新しい素材の開発、原料・製品の品質保証・安全管理・認証取得等を担当。

「ユーグレナの良さと可能性を、研究者として正しく、わかりやすく伝えたい」そんな気持ちから始まった取り組みでした。多くの人にユーグレナを知っていただけてとてもありがたく思っています。

euglena Projects

vol.00

バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。

vol.01

誰もなし得ていない、ユーグレナの
屋外大量培養技術を確立せよ。

vol.02

ユーグレナを
300億円市場に育て上げよ。

vol.03

バングラデシュの
全ての小学校に給食を。

vol.04

煙突から排出されるCO2
ユーグレナを培養せよ。

vol.05

ユーグレナの化粧品事業を
立ち上げよ。

vol.06

日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。

vol.07

「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。

vol.08

中国にユーグレナを
普及せよ。

vol.09

スーパーユーグレナを
獲得せよ。

vol.10

バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。

vol.11

ユーグレナでタケダと
新商品を開発せよ。

vol.12

下水処理場の下水を活用し、
ユーグレナを培養せよ。

vol.13

ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。

vol.14

日本独自の技術で、
ユーグレナを培養せよ。

vol.15

仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。

vol.16

ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。

vol.17

ユーグレナで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。

vol.18

ユーグレナの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ

vol.19

ユーグレナのカフェを
石垣島で開店せよ。

vol.20

ユーグレナを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。

vol.21

ユーグレナ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。

vol.22

ユーグレナを使った
バイオ燃料を生産せよ。

vol.23

研究系ベンチャーを
ヒト、モノ、カネで支える
新しいファンドを確立せよ。

©2018 MELTIN MMI

vol.24

ユーグレナとクロレラで世界初の
ASC-MSC藻類認証を取得せよ。

vol.25

グループ企業との
シナジーを構築せよ。

vol.26

新しい仲間と、
遺伝子レベルで人を健康にせよ。

vol.27

自由が丘と
ユーグレナを普及せよ。

vol.28

ユーグレナサプリメントの
加工工場を立ち上げよ。

vol.29

理科のチカラで石垣島の
地域活性に貢献せよ。

vol.30

新しいユーグレナの
基幹化粧品を開発せよ。

vol.31

ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。

vol.32

ユーグレナ由来の美容成分を
研究解明せよ。

vol.33

学生のチャレンジを応援!
通年採用を開始せよ。

vol.34

ユーグレナとクロレラで
ハラール認証を取得せよ。

vol.35

健康寿命を伸ばすユーグレナの
可能性を発見せよ。

vol.36

竹富島のクルマエビ養殖事業を
発展させよ。

vol.37

「G20軽井沢」にてユーグレナバイオディーゼル燃料で自動車を走らせよ。

vol.38

石垣島ユーグレナの魅力を伝えるキャラクターを企画せよ。

vol.39

CFO(最高未来責任者)を募集・選考せよ。

vol.40

国産カラハリスイカを
栽培せよ。

vol.41

日本初となる「バーチャルオンリー
株主総会」を開催せよ。

vol.42

次世代バイオディーゼル燃料を
普及させよ。

vol.43

コーポレート・
アイデンティティを刷新せよ。

vol.44

石垣島生まれの
ユーグレナを浸透させよ。

vol.45

ユーグレナ由来の
肥料研究を加速させよ。

vol.46

日本の空をバイオ燃料で
クリーンにせよ。

vol.47

オフィス環境を改善し、
仲間の生産性を向上させよ。

vol.48

化粧品における
サステナビリティを追求せよ

vol.49

次の新素材「ミドリ麹」の
価値を世に拡げよ。

vol.50

ユーグレナの
ESG経営を加速させよ

vol.51

未来世代アドバイザリーボードを
設置せよ。