ユーグレナ・フィロソフィー、誕生
2020年8月、ユーグレナ社創業15周年の記念すべきこの年に、新たなフィロソフィー「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」が発表された。併せてロゴなどを含めたCI(コーポレート・アイデンティティ)も一新され、ユーグレナ社は第二創業期を迎えることになった。
“ミドリムシ”の会社から、“サステナビリティ”の会社へ。
ここに至るまでの軌跡を追っていこう。
“ミドリムシ”の成功体験から、
これからの方向性を模索
2020年1月、創業15周年という節目となるこの年に、ユーグレナ社では次のステージに向けた、大きな一歩が踏み出されようとしていた。入社してわずか半年の北見が提案した、「CI刷新プロジェクト」が採択されたのだ。
CI(コーポレート・アイデンティティ)とは、理念やロゴなどを構築することで、その企業の特性を確立し、独自性を社内外に伝えるためのメッセージであり、企業にとっては非常に重要なものだ。もちろん、当時使用されていたロゴも、多くの仲間に愛され、親しまれていた。だからこそ、それらを刷新することは、並大抵の覚悟ではできないことを北見は理解していた。
「私が入社した2019年の秋頃は、ユーグレナ社はまさに過渡期でした。“ミドリムシ”ブームが落ち着き、微細藻類ユーグレナの認知が社会に広まってきた今、このまま“ミドリムシ”の会社として進むのか、もしくはより広い視野を持って変化していくのか、ちょうど考えるべきタイミングであったと思います」
北見が入社した当時は、微細藻類ユーグレナの健康効果が普及しながらも、和名の“ミドリムシ”から「虫」が連想されてしまう。藻類でありスーパーフードとしてより知ってもらうべく、リブランディングがはじまっていた。また、日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントからいよいよバイオ燃料が出荷される、という節目でもあった。
「だからこそ、このタイミングでミドリムシをモチーフにしたロゴから進化する必要があると感じていました」と北見は振り返る。
キーマンの言葉で社内の空気が変わった
CI刷新プロジェクトは始動したものの、北見は壁にぶつかっていた。
「一番ネックになったのは、なぜ会社の基本的な考えは変わらないのに、CIを刷新する必要があるのかという点でした。社内ですごく愛されているロゴを入社間もない私が変えると言っても、すぐに受け入れてもらえるのかと…実際に『なぜ変更する必要があるのか』と反発の声もありましたし、どのように仲間を説得すべきか頭を抱えました。」
そんななか、ある時を境に社内の空気が一転、受け入れ態勢になったという。
「2020年4月の全社総会で、創業メンバーの1人である福本さんが新しいロゴに変える必要性を発信してくださったんです。福本さんは、その当時のロゴの制作に関わった人であり、もっともロゴに愛着があった人。そんな方からの言葉だからこそ、みんなが受け入れてくれたんだと思います。社内の空気が一変したのを肌で感じました」
無事に仲間からの理解が得られ、プロジェクトは本格始動した。
「プロジェクトメンバーは全員有志だったのですが、当時副社長だった永田さんをはじめ、マーケティング、経営企画、広報部門など、多くの部署の仲間が集まってくれました」
「ミドリムシモチーフのロゴを改定する」から始まったCI刷新プロジェクトに、改定において日本語デザインのロゴであることというミッションも加えられた。
「旧ロゴで使用されていた“euglena”は、ヨーグレナやエウグレナなど読み間違われることが多々ありました。今回改訂するのであれば、ユーグレナ社のことをより多くの方々に知ってもらうためにも、わかりやすくすべきだと考え、ロゴデザインはカタカナ表記にこだわりました」
プロジェクトメンバーは何度も議論しては経営会議に提案し、さらに議論を重ねていった。そして北見は、社長出雲との議論のなかで“サステナビリティ“というキーワードが何度も出ていることに気づいた。
「素材としてのユーグレナの可能性を探るためにある会社ではなく、地球に尽くす会社であるというイメージが、プロジェクトメンバーのなかで共有されてきているなと感じました。そんな時に、出雲さんから『Sustainability First(サスティナビリティ・ファースト)』という言葉が出てきたんです。当初の予定はロゴを改定するだけだったのですが、“ミドリムシ”の会社から次のステージに変わるなら、会社を表す言葉はこれしかない!とフィロソフィーの創出にまで話が広がっていきました」
そして、新たなユーグレナ・フィロソフィー、ロゴ、タグラインと、着々とCIがかたまっていった。
「今回のことで、経営層への信頼の厚さを見た気がします。経営層が決めたことを一丸となって目指すのが、ユーグレナ社のいいところだなと。こんなに仲間全員が自社のロゴに愛着をもつ会社、なかなかないと思いますよ」と北見は笑う。
さらなる定着へ、ワークショップを開催
新たなCIが公表されたあと、社内浸透のためにワークショップが開催された。
「1回目は『あなたにとってのサステナビリティとは』というテーマで、2回目には『Sustainability Firstという言葉を聞いてどう思うか』というテーマ。オンラインMTGで小グループに分かれてワークショップを開催しました。
微細藻類ユーグレナの可能性を探るためではなく、そもそもバングラデシュの栄養失調問題を解決するために作られた会社であるということに、みんなの意識を立ち戻っていくのを感じました。それによって、私たちの行動理由がすごくクリアに。それまでも仲間全員がぼんやりと、『うちの会社はサステナビリティに寄与する会社である』と思ってはいたけれど、それがはっきりと明文化されたことで、なぜヘルスケア、バイオ燃料、ソーシャルビジネス、遺伝子解析など多岐にわたる事業を展開していくのか、全員の認識が明確になっていきました。これは会社にとっても重要なポイントだと思っています」
これからも“変わることができる”会社へ
3年後の2025年には、創業20周年となるユーグレナ社。 その時のユーグレナ社は、いったいどんな会社になっているのだろうか。
「入社してから3年、この3年でグループ規模は倍になりました。2025年には、さらに倍になるよう進まねばなりません。そして、これまでのユーグレナ社を振り返ると、未来にどんな事業を展開しているかは予想できません。それこそがユーグレナ社の強みであると考えています。研究フェーズから事業化までがひとつのチームとして一貫できること。時代に求められ、できることが変わるなかでも、自分たちも常に変わっていけるのがユーグレナ社です。だからこそ、今回新しく作ったロゴが今のまま愛され続ける必要はなく、必要に応じて変わっていけるほうが私たちにとって正しい状態ですし、変わっていくことも愛してもらえるような会社であるべきだと思っているんです」と北見は説く。
2025年のユーグレナ社がどうなっているかは予想できない。しかし、北見の語るように、必要に応じて常に変わることができる組織こそ、サステナブルな組織であると言えるだろう。 CIを刷新し、新たなステージへ登ったユーグレナ社の今後に、さらに注目だ。
2022年11月掲出
登場人物
- 広報宣伝部
部長北見 裕介 -
2019年9月入社。マーケティング部門、通販部門を経て、2020年1月よりコーポレートコミュニケーション部門に。
「コロナ禍のタイミングで迎えた15周年。仲間と共有すべき考えのあり方が変わる中、より共通目的をもちやすいメッセージやコミュニケーション方法をこれからも模索し、最も社会を良くする会社であり、活き活きと働ける環境との両立を目指していきたいです」
euglena Projects
vol.00
バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。
vol.01
誰もなし得ていない、ユーグレナの
屋外大量培養技術を確立せよ。
vol.02
ユーグレナを
300億円市場に育て上げよ。
vol.03
バングラデシュの
全ての小学校に給食を。
vol.04
煙突から排出されるCO2で
ユーグレナを培養せよ。
vol.05
ユーグレナの化粧品事業を
立ち上げよ。
vol.06
日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。
vol.07
「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。
vol.08
中国にユーグレナを
普及せよ。
vol.09
スーパーユーグレナを
獲得せよ。
vol.10
バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。
vol.11
ユーグレナでタケダと
新商品を開発せよ。
vol.12
下水処理場の下水を活用し、
ユーグレナを培養せよ。
vol.13
ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。
vol.14
日本独自の技術で、
ユーグレナを培養せよ。
vol.15
仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。
vol.16
ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。
vol.17
ユーグレナで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。
vol.18
ユーグレナの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ
vol.19
ユーグレナのカフェを
石垣島で開店せよ。
vol.20
ユーグレナを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。
vol.21
ユーグレナ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。
vol.22
ユーグレナを使った
バイオ燃料を生産せよ。
vol.23
研究系ベンチャーを
ヒト、モノ、カネで支える
新しいファンドを確立せよ。
©2018 MELTIN MMI
vol.24
ユーグレナとクロレラで世界初の
ASC-MSC藻類認証を取得せよ。
vol.25
グループ企業との
シナジーを構築せよ。
vol.26
新しい仲間と、
遺伝子レベルで人を健康にせよ。
vol.27
自由が丘と
ユーグレナを普及せよ。
vol.28
ユーグレナサプリメントの
加工工場を立ち上げよ。
vol.29
理科のチカラで石垣島の
地域活性に貢献せよ。
vol.30
新しいユーグレナの
基幹化粧品を開発せよ。
vol.31
ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。
vol.32
ユーグレナ由来の美容成分を
研究解明せよ。
vol.33
学生のチャレンジを応援!
通年採用を開始せよ。
vol.34
ユーグレナとクロレラで
ハラール認証を取得せよ。
vol.35
健康寿命を伸ばすユーグレナの
可能性を発見せよ。
vol.36
竹富島のクルマエビ養殖事業を
発展させよ。
vol.37
「G20軽井沢」にてユーグレナバイオディーゼル燃料で自動車を走らせよ。
vol.38
石垣島ユーグレナの魅力を伝えるキャラクターを企画せよ。
vol.39
CFO(最高未来責任者)を募集・選考せよ。
vol.40
国産カラハリスイカを
栽培せよ。
vol.41
日本初となる「バーチャルオンリー
株主総会」を開催せよ。
vol.42
次世代バイオディーゼル燃料を
普及させよ。
vol.43
コーポレート・
アイデンティティを刷新せよ。
vol.44
石垣島生まれの
ユーグレナを浸透させよ。
vol.45
ユーグレナ由来の
肥料研究を加速させよ。
vol.46
日本の空をバイオ燃料で
クリーンにせよ。
vol.47
オフィス環境を改善し、
仲間の生産性を向上させよ。
vol.48
化粧品における
サステナビリティを追求せよ
vol.49
次の新素材「ミドリ麹」の
価値を世に拡げよ。
vol.50
ユーグレナの
ESG経営を加速させよ
vol.51
未来世代アドバイザリーボードを
設置せよ。