euglena Project

50

ユーグレナの
ESG経営を加速させよ。

事業成長が社会課題の解決へつながる企業であるために

2020.03 –

継続中

ESG投資における世界的指数の
構成銘柄に初選定
Sustainability Firstへの大きな一歩

2023年6月、ユーグレナ社は快挙に沸いていた。
念願だったESG投資の世界的指数「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に、初めて選定されたのである。日本企業を代表する255銘柄に選ばれたことはもちろんだが、これまでの地道な努力が報われたことも、大きな喜びであった。

この成果の裏には、ふたりの立役者がいた。
ひとりはユーグレナ社にESG経営の礎を築いた石井友理、もうひとりはユーグレナ社のESG経営を7倍速で実装させた宮澤郁穂である。

「私が入社した2019年11月頃は、まだユーグレナ社はESG経営に関してはまだまだまっさらな状態でした。事業自体はサステナビリティに直結したものですが、ESG投資の対象となるための具体策はこれからという感じで、取り組みたいのは山々だけど、担当できる人がいないという状況でした。そこで、自らESG担当に挙手しました」

そう振り返る石井は、孤軍奮闘でESGの土台をつくった、いわばユーグレナ社のESGの先駆者だ。土台づくりから始まり、銘柄に選定されるまでに至った軌跡を辿っていこう。

宮澤(左)と石井(右)

いまやESGは世界的潮流
ユーグレナ社も避けて通れない道だった

そもそもESGとは何か?
近年の企業の長期的・持続的な成長においては、財務状況だけではなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)、つまりESGへの取り組みが重要であるという考えが広まってきた。それに伴い、投資家が企業へ投資を行う際の判断基準として、ESGが広く用いられるようになったのである。つまりESGへの対応基準が高い企業は、投資対象として有望とみなされる時代になったのだ。

だから、投資家にとってはどの企業がESGの水準が高いのかを知る必要がある。しかしESGは世界共通の定義や基準があるわけではないため、評価機関の定める基準で評価されるようになっている。企業は自社の取り組みを開示し、各評価機関から定期的にスコア付けされるという仕組みだ。

創業当時からサステナビリティを念頭に事業を進めてきたユーグレナ社だが、事業自体がESGに直結するとはいえ、各評価機関の基準に合わせて情報を整理し、開示することはこれまでできていなかった。

そんなときに自ら担当者に手を挙げた石井は、その理由をこう語る。
「私はこれまで大手精密機器メーカーや外資系コンサルタントでキャリアを積んできたのですが、なんとなく仕事が面白いと思えずにいました。そこで、一から自分を棚卸ししてみたときに、【社会貢献性】が自分のキャリアにとって重要だと気づいたんです。社会貢献性が高く、経営との距離が近く、わくわくできる。その理想のイメージが、ユーグレナ社にぴたりと当てはまりました。念願かなって入社でき、ここで自分は何ができるだろうかと考えていたところ、会社として取り組みたいけれど、なかなか着手できていなかったESGへの対応という問題があったのです。これだ、と思いましたね」

社会貢献性を重視して入社した石井は、まさに社会貢献性を広くアピールする仕事を担うことになった。しかし、やると決めたはいいものの、過去に経験があったわけではない。まずは目標を定める必要があった。

「当時、ESG対応のコンサルタントに入ってもらうことが社内で検討されていたので、まずはそのチームに参加しました。そこで、ESG開示とは何を開示するものなのか、そして現在のユーグレナ社の立ち位置はどのような状態なのかなど、基礎から教えていただきました。そのうえで、今何ができていて、これから何が必要なのかを整理し、経営層と目線合わせをすることから始めました」

「ユーグレナ社はサステナビリティを体現している会社なのに、なぜESGの側面では評価されていないのか」ということに石井はもどかしさを感じていた。そこでまずは、英国のFTSE Russell(フィツィー・ラッセル)社が提供する世界的なESG 投資インデックスである「FTSE」に目標を定め、200近くある基準を全て精査していった。そのなかで、すぐに開示できるもの、少し準備すれば開示できそうなもの、長期の準備が必要なものに仕分けたという。

「最初は果てしない作業に思えましたが、すぐに開示できそうな情報も多々あることに気づきました。そのため、まずはコーポレートサイトにサステナビリティのページをつくり、そこに情報を公開していきました。もちろん、情報を開示したからといってすぐに銘柄に選ばれる訳がなく、最初のFTSEからの評価は全然だめでした。でも、地道に情報を開示していった結果、最初のスコア0.9から1.8に上がったときは嬉しかったです」

2022年当時のサステナビリティページ

サステナビリティ・タスクフォースが発足
社をあげてESGに取り組むことに

そんななか、社内のヘルスケア部門から「サステナビリティに関する目標を立てたい」という声が上がった。このユーグレナ社らしい発信は、経営側で真摯に受け止められ、全社的に取り組む方針が決定した。そこで、すでに黙々とESGを推進する石井が、そのタスクフォースのリーダーとなる。

「私自身、正直これ以上自分一人だけでやるのは厳しいと感じていたところでした。全社的に取り組むなら、前進するのは確実です。チームで検討するなかで、サステナビリティの『攻めと守り』という考えの枠組みを改めて整理しました。『攻め』、つまりESG経営で言うところの自由演技にあたるところは、バングラデシュでの貧困解決、バイオ燃料『サステオ』の開発、人々のウェルビーイングを支える商品開発や販売など、まさに事業に直結する形で社会問題の解決を実現すること、またCFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)を採用し他社とは違う方法で未来経営を推進することなど、ユーグレナ社独自の方法でサステナビリティを体現していく領域のことです。そして『守り』となる規定演技は、長期的に持続可能な経営を実現するためのESGに対応した経営基盤を構築していくことである、という共通認識が出来ました。
『攻め』に関しては、まさにユーグレナ社の創業理由に直結する部分でもあり、自然発生的に仲間からアイデアが生まれ実現に向けて進んでいきます。しかし、『攻め』の部分のみを行っていてもESGの側面では評価されません。『攻め』の部分でこんなに素晴らしい取り組みを行っているのに、『守り』の部分が評価されないとESG機関投資家の目にも留まらない状況であるなんてあり得ない、という強い思いがあり、自分の役割はまさに『守り』を推進し、機関投資家の目に留まる企業になり、ユーグレナ社の本質である『攻め』の部分について知ってもらうことだと確信しました。経営にもこの構造を理解してもらい、ESG経営を推進し評価を得ることがいかに大切かを何度も説明しました」

これを受け、経営側からは「2年以内に銘柄入りしよう」と発破をかけられることに。石井はさらにドライブをかけて施策に取り組むが、サステナビリティ経営の中期経営計画を作成したタイミングで、産休に入ることになる。
「正直、もう少し見届けたかったですね。これからというときでしたが、後任者に期待して復帰後の会社がどうなっているかを楽しみにすることにしました」

しかし、石井のバトンはしばらくの期間を経て、宮澤へと受け継がれることになる。
どうしても専門的な知識や経験が必要とされる分野であるため、適任者を探す状況が長く続いていたのである。

2023年1月に経営戦略部に入社した宮澤は、当時の状況をこう語る。 「ユーグレナ社に入社が決まったときには、すでにこの状況は伺っていました。石井さんがお休みに入られてからは、紆余曲折あり改めてESG施策を取りまとめる仕切り直しが必要であること、そして機関投資家に評価してもらうための情報開示の知見が社内にないこと。また、経営戦略部内にサステナビリティ推進課を新設し、本気でESG経営に取り組もうという経営の意思があること。それらの課題や任務を一気に担うのが私のミッションであると認識したので、入社前からやりがいがありそうだとわくわくしていました」

そんな宮澤は、グローバルに展開する大手衣料品メーカーでサステナビリティ推進を担当していた、まさにプロフェッショナルだ。大企業で培ったESG経営の知見とノウハウを、ユーグレナ社で存分に発揮することになる。

「ESG経営の評価には、どの企業にも共通で求められる『規定演技』の部分と、その企業独自の取り組みである『自由演技』の部分があります。ユーグレナ社は独自の取り組みは豊富でしたが、基礎的な部分、『規定演技』の部分で情報やデータを集め、整える必要がありました」

そこで宮澤がまず着手したのは、社内の理解度を上げることだった。東証プライム上場企業として求められることを説明し、理解を促進した。
「ESG開示は評価機関がジャッジできる形に整える必要があるので、いくら良い取り組みをしていても、評価される形でなければ意味がありません。そのため、とにかく各部門の理解を高め、協力を仰ぎながら情報を収集して体制を整えていきました」

ついに銘柄入りに成功
勝因はきめ細かなレビュー

宮澤が入社してからわずか3ヶ月後、FTSEの評価期間が訪れた。FTSEは通常、企業の開示情報に点数をつけ、その内容に対して企業側がレビューという形で回答する流れを採用している。そのレビューをきちんと行うことで、FTSE側で再評価が行われ、点数が上がることもあるという。宮澤はFTSEから下された初期調査に対して、条件に沿った開示を行うとともに、細かくレビューを行った。

「惜しい点がたくさんあったので、地道に開示とレビューをしていったんです。経験上、このすでに社内にある取り組みの開示とレビューをFTSE側に求められる形で行えば、ある程度成果が出ることはわかっていました。でも、まさかすぐに銘柄入りできるとは思っていなかったので、正直嬉しかったです」
ゼロからESGの礎を築いた石井と、短い期間で銘柄入りまで引き上げた宮澤。このふたりの活躍が、ユーグレナ社を日本のESG経営企業の代表に押し上げたと言える。

ユーグレナ社はいま、ヘルスケア事業に並行して、バイオ燃料事業に力を注いでいる。これが世界的に普及する頃には、さらにステークホルダーからの視線が集まるだろう。それを踏まえ、宮澤はこう語る。
「ESGは投資の基準として注目され、昨今は上場企業に対するサステナビリティ開示の規制化がされるなど、ますます取り組みや開示が求められています。一方で、ESG経営とは本来は環境や社会、そして人を大切するための概念であるため、自由演技と規定演技の両方のバランスを取って進める必要があると思っていますし、今後もそういった取り組みを明るく、楽しく、前向きに進めていきたいです。私は一児の母であり、そして社内でも多くない女性管理職の一人。子どもにやりがいのある仕事をしている姿を見せながら、社内の女性社員のロールモデルになれるような人になりたいです」

石井もこの言葉に共感しているという。
「私も宮澤さん同様、子を持つ母です。今はサステナビリティという領域からははずれましたが、どこにいてもユーグレナのサステナビリティ推進には貢献できるので、これからも子育てしながら、常に成長を感じられ、わくわくする仕事していきたいですね。また、今回このインタビューの話が来た時に、産休・育休を経ても、部署が変わっても、以前携わっていた仕事が評価されたことが嬉しかったですし、ユーグレナ社らしいなと思いました」

このふたりの頼もしい仲間が活躍できる社風こそが、サステナビリティを体現する企業と言えるだろう。今後のふたりの活躍と、さらなるESG経営の推進に注目だ。

2023年7月掲出

euglena Data

~ユーグレナ社のサステナビリティ~

詳しくはこちら

登場人物

財務部
FP&Aチーム
石井 友理

2019年11月に中途仲間として入社。経営戦略部を経て財務部FP&Aチームへ。
「ボランティアでも寄付でもなく、『事業を通して』社会の問題を解決していくというユーグレナの姿勢にとても共感しています。FP&Aチームでは、財務・非財務情報の可視化と分析を行い、ユーグレナのサステナブルな企業経営を支えていきたいです。」

経営戦略部
サステナビリティ推進課 課長
宮澤 郁穂

2023年1月に中途仲間として入社。
「今後も7倍速でESG経営の推進に取り組み、会社の企業価値を底上げするとともに、『事業が成長すればするほど、社会課題の解決につながる』を体現すべく、社会インパクトの可視化にも積極的に取り組んでいきます」

euglena Projects

vol.00

バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。

vol.01

誰もなし得ていない、ユーグレナの
屋外大量培養技術を確立せよ。

vol.02

ユーグレナを
300億円市場に育て上げよ。

vol.03

バングラデシュの
全ての小学校に給食を。

vol.04

煙突から排出されるCO2
ユーグレナを培養せよ。

vol.05

ユーグレナの化粧品事業を
立ち上げよ。

vol.06

日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。

vol.07

「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。

vol.08

中国にユーグレナを
普及せよ。

vol.09

スーパーユーグレナを
獲得せよ。

vol.10

バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。

vol.11

ユーグレナでタケダと
新商品を開発せよ。

vol.12

下水処理場の下水を活用し、
ユーグレナを培養せよ。

vol.13

ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。

vol.14

日本独自の技術で、
ユーグレナを培養せよ。

vol.15

仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。

vol.16

ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。

vol.17

ユーグレナで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。

vol.18

ユーグレナの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ

vol.19

ユーグレナのカフェを
石垣島で開店せよ。

vol.20

ユーグレナを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。

vol.21

ユーグレナ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。

vol.22

ユーグレナを使った
バイオ燃料を生産せよ。

vol.23

研究系ベンチャーを
ヒト、モノ、カネで支える
新しいファンドを確立せよ。

©2018 MELTIN MMI

vol.24

ユーグレナとクロレラで世界初の
ASC-MSC藻類認証を取得せよ。

vol.25

グループ企業との
シナジーを構築せよ。

vol.26

新しい仲間と、
遺伝子レベルで人を健康にせよ。

vol.27

自由が丘と
ユーグレナを普及せよ。

vol.28

ユーグレナサプリメントの
加工工場を立ち上げよ。

vol.29

理科のチカラで石垣島の
地域活性に貢献せよ。

vol.30

新しいユーグレナの
基幹化粧品を開発せよ。

vol.31

ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。

vol.32

ユーグレナ由来の美容成分を
研究解明せよ。

vol.33

学生のチャレンジを応援!
通年採用を開始せよ。

vol.34

ユーグレナとクロレラで
ハラール認証を取得せよ。

vol.35

健康寿命を伸ばすユーグレナの
可能性を発見せよ。

vol.36

竹富島のクルマエビ養殖事業を
発展させよ。

vol.37

「G20軽井沢」にてユーグレナバイオディーゼル燃料で自動車を走らせよ。

vol.38

石垣島ユーグレナの魅力を伝えるキャラクターを企画せよ。

vol.39

CFO(最高未来責任者)を募集・選考せよ。

vol.40

国産カラハリスイカを
栽培せよ。

vol.41

日本初となる「バーチャルオンリー
株主総会」を開催せよ。

vol.42

次世代バイオディーゼル燃料を
普及させよ。

vol.43

コーポレート・
アイデンティティを刷新せよ。

vol.44

石垣島生まれの
ユーグレナを浸透させよ。

vol.45

ユーグレナ由来の
肥料研究を加速させよ。

vol.46

日本の空をバイオ燃料で
クリーンにせよ。

vol.47

オフィス環境を改善し、
仲間の生産性を向上させよ。

vol.48

化粧品における
サステナビリティを追求せよ

vol.49

次の新素材「ミドリ麹」の
価値を世に拡げよ。

vol.50

ユーグレナの
ESG経営を加速させよ

vol.51

未来世代アドバイザリーボードを
設置せよ。