子どもシェルターでの仲間教育【2024年7月~9月の活動報告】

今回のレポートでは、GNEKIプログラム提携校が実施する、子どもシェルターでのユニークな活動をご紹介します。

1.子どもシェルターでの仲間教育(ピア・エデュケーション)

首都ダッカにある、アパラジェヨ・バングラデシュ・スクールが運営する子どもシェルターでは、上級生が下級生を指導する、「仲間教育」というユニークな取り組みを行っています。

シェルターで保護される子どもたちと、仲間教育の指導員、ナーギスとアイシャ(最後尾列左から3、4人目)

同校には120名の生徒が在籍し、子どもシェルターでは15名が過ごしています。

現在13歳、6年生のアイシャとナーギスは、数年間を子どもシェルターで過ごし、仲間教育の指導員になりました。2人ともストリートチルドレンとして路上で生活してきた中、アイシャは8才、ナーギスは6才の時に、地域の警察署に保護され、この施設へ引き取られました。

2人は子どもシェルターで、お互いに協力し、助け合いながら、家族のように、そして責任感を持って暮らしていく事を学び、施設の職員や他の子どもたちとの強い絆を育んでいます。その生活の中で、2人は、仲間教育の指導員になるために、1年以上にわたり、毎日1時間のトレーニングを受けてきました。

幼少期のナーギス

アイシャとナーギスは、子どもシェルターが円滑に運営されるように、下級生たちに勉強や料理などの生活の手助けだけでなく、精神面もサポートしながら、ロールモデルとして活動しています。彼女たちによって、施設に家庭的で温かな雰囲気が生まれています。

子どもたちに手洗いを教えているナーギス(手前)とアイシャ(奥)
子どもたちにダンスを教えているナーギスとアイシャ

2人とも指導員としての仕事を楽しんでいます。アイシャは「小さな子どもたちのお世話や、勉強の手伝いが大好きです。とても大事なことをしていると感じます。」と話しています。ナーギスは「一緒に楽しみながら、他の生徒たちに生活スキルを教えることから、自分も学ぶことがあり、誇らしく感じています」と言います。

小さな子どもにご飯をあげるナーギス

もちろん、毎日の取組の中には苦労もあります。幼い生徒の中には、手のかかる子もいます。アイシャは「小さな子どもたちの中には、とてもいたずらっこで、私たちが叱ると家出する!と言い出す子もいるんです」と話します。厳しさと優しさのバランスを取ることは難しいですが、先生の助言を受けながら、彼女たちはこういった状況にもうまく対応する方法を学んでいます。

スルマ(9歳)とラニ(10歳)は、路上生活から子どもシェルターに来て3年以上過ごしています。この施設で、彼女たちは遊びだけでなく、読み書きを学び、他の子どもたちと楽しい時間を過ごすことができています。また、色々なことを教えてくれる上級生たちを見ながら、将来先生になることを夢みています。

アイシャから勉強を教わるラニ(左)とスルマ(中)

この仲間教育の取り組みは、指導員たちには教育を学ぶ機会を与え、下級生たちには先輩から身近なサポートを受ける機会を与えています。校長のソニア先生は「仲間教育を通じて、アイシャとナーギスは大きく成長できました。彼女たちは、年下の子どもたちを学習面と感情面、両方から支援しています」と語りました。子どもシェルターで母親代わりを務めているアンナ・ベゴムさんも「仲間教育は、上級生に自信を与え、年下の子どもたちが家庭的な絆を感じる環境を生み出しています。子どもシェルターを温かな場所にする、成功の鍵です」と付け加えました。

アパラジェヨ・バングラデシュ・スクールの授業風景

アパラジェヨ・バングラデシュ・スクールの子どもシェルターの仲間教育は、学業と個人の成長、両方を育む手助けをしています。上級生はリーダーシップスキルや責任感を学び、下級生たちは良い指導を受けながら、協力的な環境を作り、すべての生徒が明るい未来に向かうための土台を築いているのです。

GENKIプログラムは今後も子どもたちを支援してまいります。

2. 2024年7月~9月の活動報告

7月~-9月の3か月間は、GENKIプログラム対象校96校のうち、1日平均約9,070人に対し、合計59万食のユーグレナクッキーを配布しました。