あなたは一重まぶたですか?二重まぶたですか?一般的には、日本人は一重まぶたの人が多いと言われていますが、見た目は一重まぶたの人でも、遺伝的には二重まぶたの人もいるんです!

ユーグレナ社が、ユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストの遺伝子解析サービスのゲノムデータをもとに、まぶたの形状が二重かどうかと遺伝子の関係についての遺伝子項目を解析したところ、遺伝的には日本人の約半分が「二重まぶたの可能性が高い遺伝子タイプ」に該当することが分かりました。2023年11月に公開した「二重まぶたの可能性が高い遺伝子タイプが多い都道府県ランキング」とともにご紹介します。

■一重まぶたに見えるけど、遺伝的には二重まぶただった!?

目を開く時には、上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)という筋肉がまぶたを上方向に引っ張ります。この際、皮膚が折りたたまれてヒダができる場合は二重まぶた、ヒダができない場合は一重まぶたとよばれます。

ただ、本来は二重まぶたの構造であっても、まぶたに皮下脂肪や皮膚の量が多いため、ヒダができなかったり、皮膚が折りたたまれたりせず、一重まぶたや奥二重に見える人もいます。アジア人は半数近くが一重、あるいは奥二重といった中間的な形状のまぶたを持つと言われていますが、これは、まぶた周辺組織の位置関係や眼の周辺の形状・構造の違いに起因すると考えられています。

■二重まぶたは遺伝しやすい?

二重まぶたが遺伝するかどうかは、遺伝学の父として知られるオーストリアのメンデル博士が19世紀に発表した「顕性の法則」の理論が有名です。遺伝子には、特徴が表に現れやすい「顕性遺伝」と現れにくい「潜性遺伝」があり、顕性遺伝な特徴の方が遺伝しやすい性質を持っています。まぶたの形状に関しては、二重まぶたが「顕性遺伝」で、一重まぶたが「潜性遺伝」であると言われており、二重まぶたの方が遺伝しやすいと考えられています。
※ 以前は「優性の法則」や「優劣の法則」と呼ばれていましたが、2017年に日本遺伝学会が遺伝子に優劣があるとの誤解を避けるため、「優性」を「顕性」に、「劣性」を「潜性」に言い換えることを決めました。2021年度には中学校の全ての教科書で「顕性・潜性」の用語が主として使われるようになりました。

■遺伝子解析項目「二重まぶた(SNP:rs242975)」について

東京女子医科大学等の研究グループにより、最大1万人以上の日本人女性を対象に、皮膚や毛髪に関する複数の体質についてのwebアンケート結果と遺伝子との大規模な関連解析が実施されました。その結果、SNP:rs242975という遺伝子型において「T」を持っているほど、二重まぶたの可能性が高い傾向があることが分かりました。SNP:rs242975は、骨や神経の発達に重要な遺伝子の1つEMX2の近くに存在しており、SNP:rs242975が二重まぶたの形成に何らかの影響をおよぼしている可能性が示唆されました。

遺伝子解析項目「二重まぶた(SNP:rs242975)」には、次の3つの遺伝子型があります。

  • 二重まぶたの可能性が高いタイプ(遺伝子型:TT)
  • やや二重まぶたの可能性が低いタイプ(遺伝子型:CT)
  • 二重まぶたの可能性が低いタイプ(遺伝子型:CC)

■「二重まぶたの可能性が高い遺伝子タイプ」が多い都道府県ランキング

今回の調査では、「二重まぶたの可能性が高いタイプ(遺伝子型:TT)」に該当する人の割合を都道府県(出生地)別に算出し、数値化しました。

ゲノムデータの解析による、二重まぶたの可能性が高い遺伝子タイプの人の割合が相対的に高い都道府県は、1位 奈良県、2位 鳥取県、3位 三重県、4位 滋賀県、5位 福井県、6位 大阪府、7位 宮城県、8位 岐阜県、9位 香川県、秋田県となりました。全ランキングを見ると、近畿地方の2府5県すべてが14位以内に入っています。

【全ランキング結果はこちら】

■日本では約半分、欧米や南アジアでは約7割が「二重まぶたの可能性が高い遺伝子タイプ」に該当

今回の調査で遺伝子解析項目「二重まぶた(SNP:rs242975)」に関して、日本人における遺伝子型の割合は、

  • 二重まぶたの可能性が高いタイプ(遺伝子型:TT)・・・45.8%
  • やや二重まぶたの可能性が低いタイプ(遺伝子型:CT)・・・43.5%
  • 二重まぶたの可能性が低いタイプ(遺伝子型:CC)・・・10.8%

でした。日本人の約半分が「二重まぶたの可能性が高い遺伝子タイプ」に該当することが分かりました。

また、人種別では、「二重まぶたの可能性が高いタイプ(遺伝子型:TT)」に該当する割合が高い順に、南アジア集団(74.3%)、ヨーロッパ集団(72.3%)、ラテンアメリカ集団(66.6%)、アジア集団(60.2%)、東アジア集団(56.2%)、アフリカ集団(44.1%)などとなっています。同じアジアの中でも、日本を含む東アジア集団よりも、インドやバングラデシュなどを含む南アジア集団の方が高いことが見て取れます。

ご自身のタイプが気になる方は、「遺伝子解析サービス」を試してみてはいかがでしょうか。

【調査概要】
調査方法:ゲノムデータの解析をもとに調査
調査対象:「ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービス」、「ジーンクエストALL」の利用者
対象者数:ゲノムデータ:57,449人
調査時期:2023年11月
調査項目:ゲノムデータ「二重まぶた(SNP:rs242975)」の項目について、「二重まぶたの可能性が高いタイプ(遺伝子型:TT)」に該当する人の割合を都道府県ごとに算出

【ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービスとは】
個人の健康リスク・体質の遺伝的傾向・祖先のルーツについて350項目以上の遺伝子型を解析するサービスです。太りやすさなどの体質や、がん・糖尿病などの病気発症リスクに関する遺伝子情報、病気の予防のためにあなたができることをチェックできます。また、体質や病気の発症は遺伝要因だけでなく、食生活や生活環境など環境要因も大きく影響を受けるため、自分の遺伝子情報を理解したうえで生活習慣を見直す際のヒントとなります。

遺伝子解析項目は定期的にアップデートしていて、2023年11月には、「入れ歯」と「シャベル型切歯」の2つの項目の新規追加を実施しました。虫歯や歯周病で歯を失う人は高齢になるほど多く、入れ歯装着の個人差についても遺伝子との関連が報告されています。「シャベル型切歯」は、上の前歯の裏側(舌側)が深くくぼんでいる形状の歯のことをいいます。日本人をはじめ北東アジア人の多くに見られ、関連する遺伝子が見出されています。詳しくはこちらをご覧ください。