学校菜園で食の知識を広げよう【2023年11月の活動報告】
今月のレポートでは、GENKIプログラム提携校が食と栄養の知識を広めるために取り組む学校菜園をご紹介いたします。
1.学校菜園で食の知識を広げよう
バングラデシュでは課外活動として野菜や花を育てる学校があり、GENKIプログラム提携校でも多くの学校が学校花壇で校舎を彩っています。その中でも住民の多くが農業を営むダッカ郊外のサバル郡にあるグラナダ校では、この冬に学校菜園を行っています。
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バングラデシュは農業が盛んな国で、労働人口の約37%※¹が農業に従事しています。農村部では1人当たりの野菜摂取量は1日202.2グラム、都市部では1人当たりの野菜摂取量は201.3グラム※²です。 バングラデシュでは1日の野菜摂取目標が220グラムといわれており、現状は目標量に近づいています。しかし同国の食文化では米が食事量の多くを占めているため摂取する食材に偏りがあり、必要な栄養が足りていません。さらにバングラデシュの人々の多くは視覚・嗅覚・辛味などの味覚といった感覚的な食欲を満たし、満腹感を得られる食事を取っているため、栄養バランスを考慮して食材を選ぶ習慣が少ないのです。
※1 世界銀行(2024), Employment in agriculture (% of total employment) (modeled ILO estimate) – Bangladesh
※² Bangladesh Bureau of Statistics(2022), “Household Income and Expenditure Survey (HIES) 2022”
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このような食の問題に向き合い、グラナダ校の生徒たちが栄養価の高い食材や栄養の知識を広めようと始めたプロジェクトが学校菜園です。
まず学校が菜園用の畑を借り、耕運機で耕していきます。ここでは頼りになる最上級生の5年生の生徒たちと、2人の担当の先生が中心になって作業を進めます。他の生徒たちもほとんどが学校の近くに住んでおり、放課後や休日の自由な時間に協力しています。
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土地を耕して土壌をなじませたら、次は堆肥に尿素を混ぜ、リン酸肥料を施していきます。その後も生徒たちは先生たちの指導に従って、野菜を植える畝(うね)を作る、さらに学校の井戸からバケツで水を運び、灌漑(かんがい)も行いました。
畑で栽培する野菜は、先生たちが選びます。今回は、ツルムラサキ、ゴーヤ、紫ヒユ菜、大根の葉、ホウレンソウ、フェヌグリークの葉、カボチャ、カリフラワー、キャベツ、ナス、トマト、パパイヤ、キュウリ、コリアンダーなど、多種多彩な野菜の種を集めました。
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これらの野菜の種を植えると、生徒たちは定期的に畑を見回って、水をまいたり、畝(うね)を整えたりして収穫を待ちます。そして種まきから約1か月後、いよいよ収穫です。育った野菜は全校生徒だけでなく、先生たちや校長先生にも配られました。今回の取り組みの中心になった5年生を始め、生徒たちは食に興味を持って家庭でも野菜を育てるようアドバイスを受けました。また先生たちは生徒たちが自宅で栄養満点の料理を作れるよう、野菜のシチューやビリヤニのレシピを教えてくれたそうです。
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学校の菜園を通して、生徒たちは野菜の育て方だけでなく、消費の仕方や栄養価についても実践しながら学ぶことができます。今回のプロジェクトに参加したグラナダ校のシュキさんは「私の父は農業を仕事にしています。学校菜園に参加したことで、私は実際の農業がどのように行われるか理解できました。先生に感謝しています」と語ってくれました。また同校のシェリン校長は「学校菜園は生徒たちに新しい知識の扉を開いてくれました。幼い頃から農業を学んだ子どもたちの知識が、家族や社会に伝わっていくよう願っています」と次世代へ期待を寄せています。
GENKIプログラムは今後も子どもたちを支援してまいります。
2. 2023年11月の活動報告
11月はGENKIプログラム対象校のうち、97校の約1万1300人に対し、21万食のユーグレナクッキーを配布しました。
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引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い致します。