「VUCA(ブーカ)」の時代と言われる昨今、新しいものを受け入れる寛容さや、新しいことに挑戦する開拓性の高さが必要な場面が多くなりました。ユーグレナ社では、ユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストの遺伝子解析サービスのゲノムデータをもとに「開拓性が高めの遺伝子タイプが多い都道府県ランキング」を公開しました。
■性格は遺伝するの?
心理学において人の性格の特徴を捉える研究理論のひとつにビッグファイブと呼ばれる「性格の5因子」理論があります。性格の個人差を「情緒安定性」「外向性」「協調性」「開拓性」「勤勉性」の5つの因子で記述する考え方です。性格は、育てられ方や周りの人間関係など環境要因が多く影響していると考えられていますが、遺伝要因も関係していることが研究で明らかになってきていて、30~60%ほどが遺伝要因であるという研究結果もあります。
■「開拓性」とは?
「開拓性」は、知性・知的好奇心とも関係し、新しい経験やものなどを受け入れることへの寛容さを示します。この傾向が高いと、知的好奇心が強く独創的な発想をし、芸術的な創造性を発揮する側面もあると言われていますが、極端になると夢想・空想が過ぎて無謀な行動をとる場合があります。一方で、この傾向が低いと、保守的で大きな変化よりも馴染んだものを好み、堅実な生活を送ると言われますが、時には伝統や権威にこだわる頑迷さにつながる場合もあります。
■遺伝子解析項目「開拓性(SNP:rs6265)」について
カリフォルニア大学の研究グループによって、100万人以上の欧米集団から取得したBFIやNEO-FFIなどと呼ばれる性格診断のアンケート調査結果と遺伝子情報を用いて、その関連を調査する研究が行われました。性格診断の結果から性格の5因子(「情緒安定性」「外向性」「協調性」「開拓性」「勤勉性」)のスコアを計算して、5つの因子のスコアそれぞれについて関連する遺伝子型を調査した結果、さまざまな遺伝領域と性格が関連していることが明らかになり、SNP:rs6265という遺伝子型で「G」を持っているほど開拓性が高い傾向があると分かりました。
遺伝子解析項目「開拓性(SNP:rs6265)」は、新しいものを受け入れる寛容さに関する項目で、遺伝子型は次の3つのタイプがあります。
- 開拓性が高めのタイプ(遺伝子型:GG)
- 一般的なタイプ(遺伝子型:AG)
- 開拓性が低めのタイプ(遺伝子型:AA)
■「開拓性が高めの遺伝子タイプ」が多い都道府県ランキング
今回、ユーグレナ社の調査では、「開拓性が高めのタイプ(遺伝子型:GG)」に該当する人の割合を都道府県(出生地)別に算出し、数値化しました。
ゲノムデータの解析結果による、開拓性が高めの遺伝子タイプの人の割合が相対的に高い都道府県は、1位 鳥取県、2位 山形県、3位 沖縄県、4位 佐賀県、5位 長崎県、6位 福島県、7位 高知県、8位 愛媛県、9位 山梨県、10位 熊本県となりました。
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■近畿地方は伝統にこだわり、馴染みのものを好む傾向あり?
日本人における遺伝子型の割合は「開拓性が高めのタイプ(遺伝子型:GG)」が34.2%でした。つまり、30位以下の地域は開拓性が高めのタイプが日本人の平均よりも少ないので、どちらかというと開拓性が低めのタイプの特徴である「保守的」「伝統にこだわる」「馴染みのものを好む」傾向がある地域と言えます。例えば、近畿地方の奈良県を除く6府県が30位以下に入っていることから、歴史のある神社やお寺など古き良き建造物や日本の伝統的な文化を近畿地方で維持できているのは、もしかしたら遺伝子が関係しているのかもしれません。
【調査概要】
調査方法:ゲノムデータの解析をもとに調査
調査対象:「ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービス」、「ジーンクエストALL」の利用者
対象者数:ゲノムデータ:21,371人
調査時期:2023年2月
調査項目:ゲノムデータ「開拓性(SNP:rs6265)」の項目について、「開拓性が高めのタイプ(遺伝子型:GG)」に該当する人の割合を都道府県ごとに算出
【ユーグレナ・マイヘルス遺伝子解析サービスとは】
個人の健康リスク・体質の遺伝的傾向・祖先のルーツについて350項目以上の遺伝子型を解析するサービスです。太りやすさなどの体質や、がん・糖尿病などの病気発症リスクに関する遺伝子情報、病気の予防のためにできることをチェックできます。
体質の遺伝的傾向では、今回調査した「開拓性」だけでなく、性格の5因子に関するそれぞれの項目、「情緒安定性」、「外向性」、「協調性」、「勤勉性」に関する結果も提供しています。詳しくはこちらをご覧ください。