スラム街の子どもたちが触れる世界のエンターテイメント
【2023年5月の活動報告】

今月のレポートでは、バングラデシュの子どもたちが海外のエンターテイメントを楽しむ様子を紹介します。

1.スラム街の子どもたちが触れる、世界のエンターテイメント

GENKIプログラムの提携校に通う子どもたちは、生活環境が恵まれない中でも、家庭でスマートフォンやテレビを通して海外の動画コンテンツを見たり、ゲームで遊んだりしています。子どもたちはその様なエンターテイメントを通して、どのような影響をうけているのでしょうか。

GENKIプログラムの提携校のひとつである1974年に創立したBLSオバット小学校は、首都ダッカのミルプール地区にあります。全校生徒510人のほとんどが近隣のスラム街に住んでいるため、貧しい子どもたちに無償で授業を行っています。
スラム街の人口密度は過密で、1つの部屋に7~8人が住んでいたり、複数の世帯が共同でトイレを使っていたりします。また治安が悪く、住人は差別や暴力に巻き込まれることもあります。そんな過酷な環境下で暮らす子どもたちも、独自で楽しむ工夫をしているようです。

1990年代にバングラデシュでインターネットの利用が始まり、2010年代にはスマートフォンが普及してくると、バングラデシュに暮らす人々にとっても動画投稿サイトやSNSなどからアクセスできる海外のエンターテイメントが身近な存在になりました。スラム街の子どもたちは学校の放課後などに遊ぶ場所が十分でないこともあり、インターネットやテレビで海外のコンテンツを見たりゲームで遊んだりして余暇の時間を過ごしています。

ミルプール地区のスラム街

実は、アメリカや日本のアニメはバングラデシュの子どもたちにも大人気です。スラム街に暮らす子どもたちはテレビのある家庭に集まってみんなで一緒に見ています。面白いストーリーと個性豊かなキャラクター、音楽や色彩は、子どもたちを魅了します。子どもたちの中にはお気に入りのアニメが描かれたランドセルやおもちゃを持っている子もいます。

アニメのキャラクターが描かれたランドセルで通学する子どもたち
友だち同士で集まってアニメを見る
おやつを食べながらアニメを見る女の子

8年生のラナ君のお気に入りは、日本のアニメです。彼は最新の人気作品に登場するキャラクターに憧れています。
「アニメが現実でないことは分かっているよ。でも僕は将来ヒーローになって、いろんな場所で人々を助けたいんだ」とラナ君は話します。

スマートフォンでアニメを見るラナ君

バングラデシュでは海外の映画も人気があります。中でも、インド(ボリウッド)映画が描く家族の絆や社会問題はバングラデシュでも相通ずるため、人々の共感を呼んでいます。
また子どもたちには、アメリカの音楽も人気です。自らベンガル語でラップを歌うシャヒル君は「洋楽を聴くと、英語のリスニングが上達するんだ」と楽しそうに話します。勉強の合間や自由時間に触れる異文化のエンターテイメントは、子どもたちの日常に変化をもたらしているのです。

外国の映画やゲームを楽しむ女の子

また、バングラデシュの人々は、スポーツも大好きです。特にサッカーは、ワールドカップなどの国際大会が行われると国中が盛り上がります。校庭のある学校に通う子どもたちはよく、昼食後や放課後に校庭でプレーしています。
「僕はサッカーが好きだよ。スター選手のプレーだけでなく、振る舞いにも憧れる。強くてかっこいいんだ」と話すラナ君は、憧れの選手のユニフォームを着て友人とサッカーを楽しみます。

学校でサッカーする子どもたち
スマートフォンで試合観戦

スラム街の子どもたちは遊ぶ場所が限られていますが、エンターテイメントに触れることで心の満足を得られています。テレビやインターネットを視聴する機会が増えることで子どもたちの活動レベルが下がるかもしれません。しかしエンターテイメントを通して、子どもたちに新しい思想や価値観が生まれる利点もあります。

教室で子どもたちを指導するタマナ先生

同校のタンマナ先生は、エンターテイメントと子どもたちについてこう語ってくれました。
「子どもたちは欧米の文化を服や髪型に取り入れています。エンターテイメントを通して外国の文化を知ることは、必ずしも有害ではありません。生徒たちは積極的にライフスタイルを彩っているのです。外国の文化は、子どもたちの未来の可能性を開いてくれるでしょう」。

GENKIプログラムは今後も子どもたちを支援してまいります。

2.2023年5月の活動報告

5月はGENKIプログラム対象校のうち、84校の約9400人に対し、21万食のユーグレナクッキーを配布しました。

引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い致します。