ラマダン中の補講でのユーグレナクッキー配布
【2017年6月の活動報告】
1.ラマダン中の補講でのクッキー配布
今月はラマダン(断食月)のため、多くの学校が休校となりましたが、その間も契約している39校の約12,000人のうち、補講を実施した12校の約1,500人に対し、約15,000食のクッキーを配布することができました。ラマダン中の補講でクッキーを配布したのは今年が初めてです。補講を担当している先生にはご協力いただけるよう、ていねいに状況を説明し、理解いただいたうえでクッキー配布を実現することができました。
バングラデシュの補講は塾のような存在です。毎日1時間行われ、さまざまな科目を勉強します。補講の授業料は月300タカ(約400円)で、通常の授業料とは別に先生に支払います。なお、ラマダン中でも、病気の人や子どもたちには日中の飲食が許されています。クッキーを受け取った子どもたちからは、ラマダン中のクッキー配布が大変好評で、来年も実現すべくさらに多くの学校の子どもたちに配布できるよう計画を立てていきます。
写真-1: 補講を受ける子どもたち
写真-2: 補講後にクッキーを食べる子どもたち
2.孤児へのクッキー配布
現在39校がGENKIプログラムの対象校となっており、そのうち両親がいない子どもたちのための学校は3校あります。その中のダムモヒラミッション校(DAM Mohila Mission HighScool)は女子校で、375人中65人の子どもたちが孤児であり、学校に隣接する寮に住んでいます。寮のスタッフは5人しかおらず、なかなかサポートも満足にできていない状況です。また、子どもたちの中には情緒不安定な子もおり、配布したクッキーを投げてしまうこともあります。そこで、GENKIプログラム担当の現地スタッフは学校訪問時、このような子どもたちのサポートをすることにも重点をおいています。寮で十分な食事が提供できない現状から、今後も大事な栄養源であるクッキーを子どもたちに食べ続けてもらえるよう、引き続きサポートしていきます。
写真-3: 寮に住んでいる孤児たち
写真-4: 孤児たちの寮
3.家庭紹介
GENKIプログラムのクッキーを食べている子どもたちは、一体どのような家庭環境で暮らしているのでしょうか?今月は、ナンヤンタラ ユーシーエルシー学校 (Nanyantara UCLC School)に通うナヒーダちゃんのご家庭を紹介します。彼女の家庭は、ご両親、5年生である10歳のナヒーダちゃん、妹(4歳)、弟(2歳)の5人家族です。ダッカのボラスラム街にある、トタン板の家に家族5人で住んでいます。お父さんはリキシャの運転手の仕事をしていますが、体調不良のため半月程度しか仕事ができず、月収は4,500タカ(約6,000円)です。一方で、お母さんは家政婦の仕事をしており月収は5,0000タカ(約7,000円)なので、世帯月収 9,500タカ(約13,000円)にて生活をしています。バングラデシュのスラム街の平均月収が15,000タカ程度(約20,000円)であることを考えると、生活はとても厳しい状況です。
食生活は安価な米が中心になるため、野菜、肉、魚といった栄養バランスのとれた食事を摂ることが困難です。お金が底をついてしまった時は、夕食を食べられずに眠りにつきます。また、炊事場とトイレは20世帯で共有しているため、衛生状態がよいとは決して言えません。このような環境で生活する彼女にとって、クッキーを配布してくれる学校に登校することが、何よりの楽しみといいます。しかし、彼女の弟妹は残念なことに未就学児であるため、クッキーを受け取ることができません。彼女は、弟妹が学校に通い、クッキーを食べられる日がくることを願っています。
写真-5: トタン板の家
写真-6: ナヒーダちゃん(写真左)、お母さん、弟
4.現地スタッフ モハイミヌル(Mohiminul)の仕事紹介
今月は、現地スタッフであるモハイミヌルの仕事について紹介します。彼は、学生時代、子どもたちに関わるボランティア活動をしており、スラム街の学校で勉強を教えたり、貧しい子どもたちのために募金活動などを行っていたりしていました。これらの経験を活かしたいと考え、2016年に入社しました。彼の主な仕事は、学校訪問を通じて子どもたちや先生との会話から現状を把握し、要望を聞きだすことです。具体的には、新しい風味のクッキーを食べたい、血液検査の際に血液型を知りたい、対象学校を増やして欲しいなどといった内容です。限られた人員、予算の中で全ての要望を満たすことは難しいため、聞き出した要望の背景と必要経費を確認し、少しずつ子どもたちや先生の意見を事業に反映しています。
モハイミヌルが担当する業務の中で特に重要な業務の1つに血液検査があります。子どもたちは血液検査の経験がないため、注射針を見るだけで怖がったり泣き叫んだりしてしまいます。これらの子どもたちを落ち着かせ、安心して血液検査を完了できるよう取り計らうことが彼の業務です。モハイミヌルが地道に周りの人たちとの信頼関係を構築してくれるおかげで、円滑に活動を進めることができています。今後も、学校訪問活動を通じて子どもたちや先生から多くの要望を聞き出すとともに、地域の人たちにGENKIプログラムを理解してもらえるよう働きかけていくことが、彼の大きなミッションです。
写真-7: 学校訪問での子どもたちとの交流
引き続きご支援よろしくお願い致します。
株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所