バングラデシュの学校で「思春期の食事と健康」についてセミナーを実施
【2018年5月の活動報告】
今期(2018年4月~9月)のユーグレナクッキーの配布目標110万食に対し、5月までに約41万食(進捗率:約38%)を配布しました。
1.「思春期の食事と健康」についてセミナーを実施
今月はアーバンシーブロック学校(Arban C Block School)が14歳~19歳の思春期の子どもたちを対象に実施している思春期プログラムについて紹介します。同プログラムは、思春期の子どもたちが心身ともに健康的に成長するための知識、また身近にある社会問題に巻き込まれないための知識を先生から子どもたちに伝える活動です。昨年から同校の先生が放課後に週2回、14歳以上の生徒約50人を対象に実施しています。このような課外活動を行っている学校は「ユーグレナGENKIプログラム」対象校の中で同校だけです。
今月、先生から依頼を受け当社スタッフが思春期プログラムに参加しました。これまでも学校で実施してきたバランス良く栄養素を摂取する必要性について、「思春期の食事と健康」と題して話をしました。1日に必要な栄養素を紹介した後、子どもたちから「タンパク質を摂るため、1個5円で購入できる卵をゆで卵にして毎日食べよう。」、「ビニールパックで販売されている60円の牛乳(500ml)を家族で飲んでカルシウムをとろう。」といった身近に購入できる食材で栄養をどうとるか意見交換をしました。また翌週生徒たちは家族、友人の家庭を訪れ、必要な栄養素を紹介し、自身が得た知識を他者へ広める活動を行いました。
その他同プログラムでは、タバコ、麻薬中毒防止をテーマに先生から説明を行っています。ダッカのスラム街に住む思春期の子どもたちは、友人や売人からの誘いをきっかけにタバコ、麻薬中毒になるといった問題があります。タバコは1本7円、大麻など麻薬は70~100円で購入することができます。バングラデシュでは法的に15歳以上がタバコを購入できますが、成長期の喫煙は身長が伸びづらくなるといった身体への影響や、集中力低下などの学力へ影響を及ぼすことを先生が伝えています。その他、麻薬が体に与える害や、売人から誘われた際の断り方について説明しています。また、麻薬を売買している危険地域名を伝え、そういった場所に近づかないようにも警告しています。学校の先生は、「プログラムを始めて1年になりますが、今後も子どもたちが健康的に成長するための教育を地道に続けていきたいです。」と話しています。
写真-1:スラム街に住む家庭を訪問する生徒たち
写真-2:思春期プログラムに参加する生徒たち
2.チョイストゥチェンジ小学校で働くプロディップさんの紹介
今月新たにチョイストゥチェンジ小学校(The Choice to Change school)へユーグレナクッキーの配布を開始しました。同校は2010年にチョイストゥチェンジ財団(The Choice to Change Foundation)により、「ダッカのスラム街に住む子どもたちへ教育と医療保健サービスを無償提供することで貧困連鎖を断ち切る」という理念のもと設立されました。現在116人の子どもたちが学校に通っています。今月は同校でソーシャルワーカーとして働くプロディップさんを紹介します。
同校は設立当初、1年間に20人の生徒が家庭の事情により中退してしまったことがありました。それ以来、子どもたちの家庭環境に着目し、両親、地域住民の理解を得て子どもたちが学校へ通える環境作りに力を入れています。具体的には、ソーシャルワーカーのプロディップさんが学校に在籍し、家庭環境を把握するため家庭訪問を実施しています。また子どもたちの学校でのようすをご両親に把握してもらうため、お正月、独立記念日、ラマダン(断食)などを祝う学校行事を企画して両親や地域住民を学校行事に招待しています。
プロディップさんのもとには、子どもを学校へ通わせず働きに出したいなど、毎月5件ほどの中退申し出の相談がきます。ムクティちゃんの家庭もその一例です。8歳のムクティちゃんの家庭に妹が生まれたため、お母さんが仕事を辞め、代わりにムクティちゃんに働きに出てもらおうと彼女の両親は考えました。しかしムクティちゃんは成績優秀で、友人と勉強を続けたいという強い意志がありました。プロディップさんは、家庭訪問を通じ両親へ勉強を続けることの大切さを伝え、小さい子どもを預けられる保育園をお母さんと一緒に探しました。こうして、お母さんは他のNGOが運営する保育園に6か月になったムクティちゃんの妹を預け、家政婦として働き始めました。その結果ムクティちゃんは学校に通い続けることができています。プロディップさんは「本校に通う両親の7割は初等教育を受けていません。両親へ子どもたちが学校でどういった勉強をし、どう成長しているか、将来職に就くためにどうして教育が必要なのかを今後も伝え続けます。」と話をしてくれました。
写真-3:プロディップさんとムクティちゃん
写真-4:ラマダン(断食)を祝う学校行事
写真-5:保護者説明会に参加する両親たち
3. ユーグレナクッキーの製造会社の紹介
ユーグレナGENKIプログラムで配布されているユーグレナクッキーは、2014年4月プログラム開始当初より地場企業であるナビスコ社(NABISCO)にて製造、学校へ配送されています。同社はバングラデシュ独立以前の1950年に設立された60年以上の歴史を誇るクッキー製造の老舗企業です。現在1日に約50トンのクッキーやパンを製造し、バングラデシュ全土で販売しています。また、以前国際連合世界食糧計画(World Food Programme)やヨーロッパ連合(European Union)が実施していた、小学校に通う子どもたちへ栄養価の高いクッキーを配布するプログラム用にクッキーを製造、配送していたこともあります。そういった経験から、当社のGENKIプログラムに興味を持ってくださり、現地でクッキーの製造、配送を委託するパートナーとなった経緯があります。
今回は、ダッカにあるナビスコ社の工場でGENKIプログラムのクッキーの製造・配送を担当しているモクタルさんを紹介します。彼は受注から、原料手配、製造、包装梱包、学校へクッキーを届けるまでの全工程を管理しています。彼が本プログラムを担当するにあたり一番苦労していることは、クッキーの品質を確保して製造するだけでなく、子どもたちが毎日クッキーを食べられるよう、あらゆる地域の学校へ遅延なく配送することです。バングラデシュでは日本と異なり、交通網が発展していないため、激しい渋滞が日常茶飯事です。そのため渋滞を考慮し、学校への配送スケジュールやルートを考えなければなりません。モクタルさんは「工場で製造されたクッキーがバングラデシュの子どもたちの栄養不足の改善に繋がることを嬉しく感じます。当社の販売ネットワークを通じ、バングラデシュ全土へユーグレナクッキーを一緒に届けたいと思います。また、GENKIプログラムの子どもたちをいつか工場へ招待し、どうやってクッキーが製造されているかを説明したいです。」と今後の展望を教えてくれました。
写真-6:責任者のモクタルさん
写真-7:ユーグレナクッキーが焼きあがる様子
引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所