ダッカの小学校で家庭の食事や衛生状態の調査を通じたセミナーの実施
【2019年3月の活動報告】
今期(2018年10月~2019年9月)のユーグレナクッキー配布目標230万食に対し、3月までに約107万食(進捗率:47%)を配布しました。
1.GENKIプログラムの対象商品拡大について
これまでGENKIプログラムの対象商品は食品の一部商品のみでしたが、2019年4月1日より化粧品を含む当社グループの全商品に拡大しました。また、当社グループからの協賛金を連結売上高に比例して拠出する形式に変更しました。これにより売上が伸びるごとに、クッキー配布対象の子どもたちの数を増加させることを目指します。今後も当社の経営理念である「人と地球を健康にする」の実現をめざし、バングラデシュの子どもたちの栄養状態改善に向け、邁進していきます。
2.家庭の食事や衛生状態の調査を通じたセミナーの実施
GENKIプログラムではユーグレナに含まれている栄養素を説明する食育及び衛生指導を子どもたちに行っています。今回、今期の目標である食育・衛生指導の内容を充実させるため、ダッカの小学校2校合計100人の子どもたちに対し家庭の食事や衛生状態調査を行いました。調査では、3日間の食事内容・食事量、及び手洗・歯磨き・爪切りの習慣についてヒアリングを行いました。
家庭の食事における1日の栄養摂取バランスは、炭水化物・脂質の摂取が多く(75%)、続いてタンパク質(20%)、ミネラル・ビタミン(5%)という結果になりました。バングラデシュは世界で最もお米を食べている国の1つであり、朝はカレーとルティと呼ばれるパン、昼・夜とカレーと大盛のお米を食べます。おかずはジャガイモやスライスしたキュウリなどですが、他にほとんど野菜を摂取していません。両親の栄養に関する知識が浅く、栄養価の高い野菜を購入、摂取するという意識が低いことが1つの要因です。
衛生習慣に関しては、以下の結果を得ました。
手洗い | 家では86%、学校では70%のこどもが石鹸を使って手洗を実施 |
歯磨き | 64%の生徒が起床後のみ歯磨きを実施 36%の生徒は起床後及び就寝前に実施 |
爪切り | 58%の生徒が毎週爪切りを実施 21%の生徒が2週間に1度、21%の生徒が月に1度爪切りを実施 |
これらの結果をもとに、食育・衛生セミナーを、先生と調査対象者100人の子どもたちに実施しました。学校では授業で栄養について学びますが、より子どもたちが楽しみながら知識を習得し、実践できることに主眼を置きゲーム形式の食育セミナーにしました。具体的には、肉、豆、魚、野菜などの絵を子どもに渡し、各栄養素の図に各食べ物を埋めるゲーム行いました。また色を塗った栄養素の空箱の中に食べ物を入れ、子どもたちが手で食べ物を触り、食べ物の名前を回答するゲームも行いました。不足しているタンパク質は豆、ビタミンはトマト、カボチャなどの緑黄食野菜の名前をあててもらいました。これらは普段食べているキュウリやジャガイモと同価格で購入することができます。そのため、ゲームを通じ積極的にこれらの野菜を摂取するよう誘導しました。
衛生セミナーでは、手洗い・歯磨き・爪切りが正しく行えていないこと、それによる問題を伝えました。それぞれクイズを行い、子どもたちに正しい手洗い・歯磨き・爪切りの方法、なぜ行うのかをゲーム感覚で学んでもらいました。手洗いは、ベンガル語の手洗いソングを30秒間流し、子どもたち全員で歌いながら正しい手洗い手順を覚えてもらいました。歯磨きは、口の中の細菌が夜寝ている間に最も増えることを紹介し、必ず就寝前に歯磨きをするようポスターを使って紹介しました。爪切りは、週に1度爪を切るよう伝え、正しい爪の切り方について代表の生徒1人に実践してもらいました。
多くの子どもたちはこれまで大きな病気にかかったことが無いため、セミナーを実施するまで普段の食事内容で満足していました。今回の調査結果を見て、タンパク質、ミネラル・ビタミンの摂取が炭水化物と比べ非常に少ないことにとても驚いていました。そしてセミナー後、バランスよく摂取することの大切さを早速家族にも教えたいと話してくれました。また先生は、初め授業時間を使って調査及びセミナーを行うことは、子どもたちの勉強時間を削ってしまうという考えから消極的でした。しかしながらセミナー終了後、子どもたちの健康促進にとても役立つ内容であるとご理解頂き、継続実施の要望をいただきました。今後は、2校で継続するだけではなく、GENKIプログラムを実施している全校の子どもたち、両親を対象にセミナーを実施することを計画しています。今回は子どもたちが対象でしたが、今後は子どもたちだけでなくお母さんを招待し、バランス良く栄養を摂取できる料理教室も企画します。それにより、知識を深めるだけではなく、家族全員の栄養改善を目指します。
写真-1 :栄養素別に食べ物を当てはめるゲームをする男の子
写真-2:箱の中に入っている食べ物の名前を当てるゲームをする男の子
写真-3:正しい手洗いの手順を学ぶ子どもたち
写真-4:ポスターを使って歯磨き方法を教える現地スタッフ
写真-5:正しい爪切り方法を学ぶ女の子
写真-6:クイズに答える子どもたち
3.通学用かばん事情について
皆さんは小学校の「通学用かばん」といえば、どのようなかばんを思い浮かべますか?多くの方はランドセルを思い浮かべるかと思います。日本ではこの時期、真新しいピカピカのランドセルを背負った小学1年生の子どもたちを目にする機会が多くあります。ではGENKIプログラムの子どもたちはどのような通学用かばんを使用しているのでしょうか。今月は、現地の通学用かばん事情について紹介します。
バングラデシュでは、決められた通学用かばんは存在しません。子どもたちは自由にかばんを選ぶことができます。手が自由に使えることから、多くの子どもたちがリュックサックを使用しています。リュックサックの価格は、平均600円です。日本のランドセルのように小学校6年間同じものを使用するのではなく、約2年に1回の古くなったタイミングで新しいリュックサックに買い替えます。子どもたちの間で人気が高いドラえもんなどキャラクターもののリュックサックが好まれるようです。ただし、これらのリュックサックで正規ライセンスを取得しているものはほとんどありません。
日本と同様リュックサックの中にはノート、教科書、筆記用具、水筒などが入っています。現在バングラデシュでは、リュックサックの重さが社会問題になっています。平均体重約20kgの7歳の小さな子どもたちが、4~5kgのリュックサックを背負っています。発育期の子どもたちがこのよう重いリュックサックを背負うことで、肩や腰、脊柱が変形することがあります。そのため子どもたちの成長に悪影響を及ぼすといわれています。これらの問題を解決するため2016年よりバングラデシュの教育省は、当日宿題のない教科書をなるべく学校に置いていき、リュックサックの重さを子どもの体重の10%以内に収めるように学校を指導しています。しかしながらあまり効力はないようです。日本でも同様の問題が発生しています。保護者と子どもたちからランドセルが重すぎるという切実な声があがっています。脱ゆとりの学習指導要領で学習量が増え、教科書のページ数も増えたことが1つの要因のようです。日本でも、宿題など家庭学習で使わない教科書やプリントなどを机の中に置いて帰る「置き勉」を文部科学省が推奨しています。両国ともに、学習量増加と比例し、通学用かばんが重くなる傾向があるようです。
写真-7 :重いリュックサックを背負う子ども
写真-8 :キャラクターもののリュックを背負う子どもたち
写真-9:ドラえもんのリュックサック
写真-10:リュックサックの中に入っている教科書、プリントなどの中身
引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所