ダッカ市内で立ち退きを迫られたスラムに暮らす家族
【2020年1月の活動報告】
今期(2019年10月~2020年9月)のユーグレナクッキー配布目標210万食に対し、1月までに約73万食(進捗率:34.7%)を配布しました。
1.ダッカ市内で立ち退きを迫られたスラムに暮らす家族
バングラデシュではスラムの住宅事情が長年にわたって課題となっています。バングラデシュ統計局の国勢調査報告書(2014年)によると、バングラデシュにあるスラムの数は13,935箇所で、前回調査(1997年)の2,991箇所から約4.6倍に増加しています。なかでも首都ダッカはスラムが、3,394箇所もあり、全体の約4分の1を占めています。スラム増加の理由としては、雇用や教育の機会を求めて居住地を移転する人々や、自然災害を受けて耕作地を放棄する農村地域の住民流入などが挙げられます。ダッカ市の人口は約1,700万人強と多く、またその3分の1以上がスラムの住民と言われており、人口が密集し、かつ不衛生なスラムの生活環境は、そこに暮らす住民にさまざまな健康面での被害をもたらしています。このような生活環境の課題に加え、スラムの住民の多くが都市開発によって立ち退きを迫られる不安を抱えています。
ダッカ市内の大規模スラムの1つであるドゥアリパラ地区スラムにあるGENKIプログラム参加校のSSKS小学校に通うアエシャちゃん(8歳)の家族も立ち退きを迫られました。アエシャちゃんのお母さんアスマさん(38歳)は次のように話してくれました。「これまで10年間、ドゥアリパラ地区スラムで家族一緒に生活してきました。私たちが移り住んできた理由は、スラムの近隣で家政婦の求人が多かったからです。それが突然、昨年12月、小屋を建てて住んでいた国有地を立ち退くよう裁判所命令が出されたのです。」 地元の行政機関からは立ち退き通知が事前に出されていたのですが、アスマさんに通知は届かなかったようです。この立ち退き作業で同スラムの小屋は取り壊され、約45,000世帯が立ち退かざるを得ない事態となりました。
アエシャちゃんの家族は、現在、ドゥアリパラ地区スラムからかなり離れた場所に家を借りていますが、以前の家賃(3,900円/月)に比べ、今の家賃(6,500円/月)は高くなっています。アスマさんは家政婦として働き、毎月6,500円の収入、お父さんは日雇い労働で月に15日間働き8,000円から9,000円程度の収入、一緒に住んでいる長男は衣料品工場で働き毎月約15,000円の収入を貰っていますが、病気がちで収入が安定していないとのことです。脆弱な生活環境に苦しむスラムの住民にとって、GENKIプログラムが健康面でのサポートとなるよう、今後も引き続き皆さまのご支援をお願いいたします。
写真-1:立ち退き前のドゥアリパラ地区スラム
写真-2:立ち退き作業中のドゥアリパラ地区スラム
写真-3:アエシャちゃんと母親のアマスさん
2.バングラデシュの経済成長と貧困層
近年、バングラデシュは経済成長率7%以上の経済成長を続けており、世界で最も経済成長している国の1つです。貧困率も経済成長と共に低下し、日本の経済産業省のデータによると2010年の貧困率31%から2016年には24%まで改善しています。しかし、貧困層の中には経済成長の恩恵を受けて生活が改善している家庭だけではなく、逆に恩恵を受けられず年5~6%のインフレが生活に重くのしかかり、苦しんでいる家庭もあります。GENKIプログラムレポートでは、これらの経済成長の恩恵を受けられず苦しんでいる貧困層の子どもたちや家族の実情についても、お伝えしてまいります。
引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所