遺伝はさまざまな体質に関わっており、日々の中で「これって遺伝かも!?」と感じる瞬間があるかもしれません。例えば、両親と似た体質や身近な方の行動を見てそう思った経験がある方も多いでしょう。
ユーグレナ社では、遺伝子に関する素朴な疑問や研究テーマを、一般の皆さまから広く募集し、それを調査・探求する全員参加型の研究企画『みんなで遺伝子クエスト』を2024年4月1日(月)から実施し、4月25日(木)の「DNAの日」に調査内容を確定しました。
今回は、皆さまから寄せられたたくさんの遺伝に関する疑問の中から、いくつかをピックアップしてお答えします。

Q.病気になるリスクって遺伝子でどこまで分かるの?

さまざまな病気のなりやすさや体質が遺伝子の影響を受けていることが分かっています。しかしながら、病気のなりやすさや体質は、遺伝子の影響だけではなく、生活習慣や環境などの影響も受けているため、病気や体質によって、どの程度遺伝子の影響が大きいかが異なっています。例えば、遺伝性乳がん・卵巣がんのような遺伝性疾患は、遺伝子の影響が100%に近く、環境による影響は少ないとされています。
一方で、糖尿病や心臓病などは生活習慣病とも言われるように生活習慣の影響が強いことが分かっていますが、病気のなりやすさに関係する遺伝子も発見されており、遺伝子の影響も受けていることが知られています。
また、近年では、個人の遺伝子情報を解析して病気になるリスクを調べることのできるサービスも増えてきました。ユーグレナ社の「ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービス」やジーンクエスト社の「ジーンクエストALL」もその1つです。遺伝子解析によって、病気のなりやすさを完全に把握することはできませんが、病気によってはある程度予測することができるため、遺伝的なリスクを知ることで、予防や生活改善のヒントとしてご活用いただけます。

Q.血液型、身長、体型、容姿、スポーツ、音楽、数学、性格、向いている仕事などの特徴は、遺伝子によって分かるの?

それぞれの特徴は、遺伝子の影響以外にも生活習慣や環境などの影響があり、対象とする特徴によって、どの程度遺伝子の影響が強いのかが異なります。親子や親族は遺伝的に似ているため、その中で似た特徴は遺伝子の影響が強い可能性があると考えると分かりやすいかと思われますが、親子や兄弟姉妹では育つ環境も似ていることが多いため、全て遺伝子の影響とは言えません。

『血液型』・・・完全に遺伝子によって決定されます。人間の血液型は主にABOと呼ばれる遺伝子によって決められており、この遺伝子が生産する酵素によって赤血球の表面に特定の糖がつくかどうかが決定されます。ABO遺伝子の遺伝子型に基づき、血液型がA型、B型、AB型、O型のいずれかに分類されます。
[参考] https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000314.000036462.html

『スポーツや音楽、数学』・・・・複雑な能力のため遺伝子の影響というよりは、例えば、親がスポーツ選手でありコーチとして幼いころより指導していたため、のような教育・学習・トレーニングの「環境の影響が大きい」と思われます。

『身長』・・・遺伝の影響が強いと考えられていますが、成長期の低栄養などの環境によっても左右されることが分かっています。

『体型、容姿、性格』・・・いずれも遺伝的な影響があることが知られてはいますが、ご存じの通り、生活習慣や環境の影響も大きいと考えられています。

『向いている仕事』・・・先に遺伝的に分かっていると仕事を選ぶ時に良いなと個人的には思いますが、仕事内容は複雑な内容であり、「向いている」という尺度も曖昧なものであるため、まだ研究途上であり分かっておりません。

なお、ユーグレナ社の「ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービス」では、【身長】【BMI(体格指数)】【短距離選手タイプ】【外向性】【好奇心】【勤勉性】などを調べることができます。

Q. 巻き毛と直毛なら巻き毛が顕性遺伝(優性遺伝)なのに、巻き毛の人をあまり見ないのはなぜ?

こちらのご質問は「日本で」巻き毛の人をあまり見ないということですね。巻き毛(くせ毛)が表面化しやすい遺伝子「顕性遺伝」であるのに、巻き毛の人が少ない理由は、巻き毛になりやすい遺伝子タイプが、直毛になりやすい遺伝子タイプと比較して少ないためです。日本人集団では、巻き毛(くせ毛)になりやすい遺伝子タイプは、約4.9%という結果が出ています。そのため、日本では直毛の人が多く、巻き毛の人が少ないのだと考えられます。
なお、世界の地域別(人種別)に見ますと、巻き毛(くせ毛)になりやすい遺伝子タイプの割合は、ヨーロッパ集団が98.5%、アフリカ集団が97.1%、ラテンアメリカ集団が92.2%、アジア集団が11.8%であり、同じアジアでも南アジア集団は97.2%、日本人を含む東アジア集団は7.1%となっています。このことからも、世界で見ても日本は遺伝的に直毛の人が多いということが言えます。

Q.「これも遺伝による影響が大きいの⁉」というような意外な遺伝子解析項目はある?

いずれも完全に遺伝子によって決まるものではありませんが、以下などが遺伝子により影響のある意外な項目かと思われます。「蚊に刺されやすさ」「匂いの感じやすさ(アスパラガスを食べた後の尿)」「パクチーの味の感じ方(苦手かどうか)」「睡眠不足と判断能力(睡眠不足で判断能力が低下しやすいかどうか)」「ストレスと認知機能(ストレスの影響を受けやすいか)」、それから、「忍耐力」「協調性」「勤勉性」といった性格に関する項目などです。

Q. 人種による遺伝子の違いはあるの?

人種や民族によって遺伝子型の頻度が異なることが知られています。欧米人集団と日本人集団を比較した研究では、特にアルコールの分解に関わる遺伝子などに大きく違いが見られています。
[参考]https://www.amed.go.jp/news/release_20200120.html

Q. 日本人の遺伝子のタイプは、血液型のように数種類のタイプに分けることはできるの?

特定の観点に関してであれば遺伝子をタイプに分けることはできますが、様々な要素を総合してタイプ分けをすることは難しいです。というのも、個人の遺伝配列は、一卵性双生児などでない限りその人固有のものであり、他人と偶然一致することは限りなく低いためです。
しかし、特定の観点として、祖先を重視して日本人を遺伝的に分けようとすると、最新の研究では大きく3種類に分かれるという説があります。3つの祖先系統のDNAはそれぞれ現代の「沖縄」、「東北」、「関西」の人々に比較的多く受け継がれていることが分かってきています。
[参考]https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG179AP0X10C24A4000000/

Q. 遺伝子検査(遺伝子解析)はなぜ高額なの?

DNAから遺伝子配列を決定するという方法は、最初にヒトの遺伝子が決定された2003年に終了した国際プロジェクトでは13年間で約1000億円もかかっていました。現在では研究の進歩や技術の革新により大幅に安くなってきていますが、現在でも精密な機器を使用し専門的な技師によって解析が行われております。そのため、比較的高額になることが多いですが、技術の進歩と市場の拡大に伴い、コストは徐々に低減している傾向にあります。

【ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービスとは】
個人の健康リスク・体質の遺伝的傾向・祖先のルーツについて350項目以上の遺伝子型を解析するサービスです。太りやすさなどの体質や、がん・糖尿病などの病気発症リスクに関する遺伝子情報、病気の予防のためにあなたができることをチェックできます。また、体質や病気の発症は遺伝要因だけでなく、食生活や生活環境など環境要因も大きく影響を受けるため、自分の遺伝子情報を理解したうえで生活習慣を見直す際のヒントとなります。
ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービス:https://myhealth.euglena.jp/products/gene_analysis/

ジーンクエスト ALLとは】
ジーンクエストが提供する、個人の健康リスク・体質の遺伝的傾向・祖先のルーツについて350項目以上の遺伝子型を解析するサービスです。太りやすさなどの体質や、がん・糖尿病などの病気発症リスクに関する遺伝子情報、病気の予防のためにできることをチェックできます。
ジーンクエスト ALL:https://genequest.jp/dnatest/all/