新型コロナウイルスの影響下、GENKIプログラム対象校が取り組む食糧支援活動
【2020年4月の活動報告】
今期(2019年10月~2020年9月)のユーグレナクッキー配布目標210万食に対し、4月までに約110万食(進捗率:52.2%)を配布しました。
1.新型コロナウイルスの影響下、GENKIプログラム対象校が取り組む食糧支援活動
先月レポートでバングラデシュでの新型コロナウイルスの影響について報告しましたが、その後も感染拡大に歯止めがかからない状況が続いています。4月9日には新たな国内感染者が初めて100人を超え、都市封鎖(ロックダウン)再延長や日用品店およびスーパーマーケットの営業時間短縮など、人々の移動制限への対策が日増しに強化されています。当社現地法人のバングラデシュ事務所でも、ダッカ市内の銀行が週に2日しか開店しないため、社員への給与支払日の銀行口座入金処理に支障が出ることもありました。また農村地区では、警察から農家に対しても自宅待機要請が出ているため、当社の栽培契約農家が圃場で農作業が出来ない事態も生じました。バングラデシュのハシナ首相は、ベンガル暦の新年(4月14日)前夜に、テレビを通じて新年祝福の言葉を述べたうえで、新型コロナウイルスに関連した演説を行いました。その演説で、新年は家族と共に自宅で過ごし、不要不急の外出を控えるよう改めて要請すると同時に、医療機関支援や国民の生活支援施策を発表しました。具体策の一つとして、貧困層への主要食糧品(米・小麦)の配給(予算額約325億円)も言及されました。
都市封鎖(ロックダウン)や自宅待機要請が続き非正規労働の需要が激減するなか、主に日雇い仕事で生計を立てている貧困層は日々苦境に追い込まれています。この厳しい状況下で、バングラデシュ政府のみならず、GENKIプログラム対象校でも、貧しい人たちへの食糧支援活動に取り組む事例が見受けられました。2019年8月からGENKIプログラムへの参加を開始したTen Taka小学校もその1つです。ダッカ市内にある同校は多数の地元支援者が寄贈した学校で、創設者はアリフ氏という人物です。彼は貧しい人たちを助ける青年ボランティア組織『Youth for Bangladesh』の創設者の一人でもあります。今回、この2つの組織の協力のもと、政府の要請による隔離措置(自宅待機など)が始まった3月26日から具体的な支援活動に着手しました。先ずは主要食糧袋(米15kg・じゃがいも4kg・レンズ豆2kg)に石鹸1個を加えた独自の供給品を作り、ダッカ市内の貧困家庭に配給を行いました。この配給先にはGENKIプログラム対象校に通う生徒の家庭も含まれていました。3月26日から30日までの5日間で、合計1,000世帯に配給されました。その後、2日~3日に1回のペースで、対象地区を変えながら実施しているとのことです。4月に入るとさらに、路上生活者も含めてこの苦境の中で最も飢えに苦しんでいる人たちを対象に400個~500個の昼食(ランチボックス)をほぼ毎日支給しました。この昼食には、キチュリというレンズ豆・米・卵・野菜・鶏肉を食材とした栄養豊富で消化しやすい伝統的な豆粥をボランティアメンバーが用意しました。毎回400個~500個のランチボックスを準備するために、Ten Taka小学校内の教室や運動場が利用されました。完成したランチボックスを支給する場所としては、広大な敷地を有する鉄道駅広場が選ばれ、地元警察の協力を得て支給対象者のソーシャルディスタンスを保ちつつ実施されています。この様子は地元のテレビ局GTVのニュース番組でも紹介されました。
残念ながら4月中旬以降、バングラデシュでは新型コロナウイルスの1日当たりの感染者数が増加の一途をたどっています。5月11日には1日の感染者数が1,034人(出所:世界保健機関WHO)となり、初めて1,000人を超えました。ピークアウトの傾向は未だ見えていません。また感染者の特徴として、年齢層別では21歳~30歳の感染者の割合が26%と最も高く、次いで31歳~40歳が24%で(出所:バングラデシュ伝染病研究所IEDCR)、これらの年齢層が全体の半分を占めています。日本国内での感染者は高齢者の割合が多いことを考えると様相が異なるようです。感染拡大の対策として学校休校が続くなか、ユーグレナクッキーをGENKIプログラム対象校の生徒たちに届けることが出来ない状況にあります。わたしたちも栄養豊富なユーグレナクッキーで、この難局に貢献すべく独自の支援策を講じています。詳細は次号以降で紹介させていただきます。
バングラデシュでの新型コロナウイルス感染者の発生状況 | 感染者数 | 死亡者数 |
---|---|---|
25,121 | 370 |
※2020年5月20日時点 出所:世界保健機関(WHO)https://covid19.who.int/
写真-1:主要食糧袋の配給を受ける家族
写真-2:主要食糧袋の配給を受ける主婦
写真-3:ランチボックスを準備するボランティア
写真-4:鉄道駅広場で配給を待つ人たち
写真-5:ランチボックスを配るボランティア①
写真-6:ランチボックスを配るボランティア②
引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所