みんなで書こう!ベンガル文字を学ぶスラム街の子どもたち
【2023年4月の活動報告】
今回のGENKIレポートでは、スラム街に住む子どもたちがGENKIプログラム提携校の保育施設で文字を学び、書く力を身につけていく様子をご紹介します。
1.みんなで書こう! ベンガル文字を学ぶ子どもたち
GENKIプログラムの提携校の多くはスラム街やその周辺にあります。これらの学校に通う子どもたちにとって、学校の授業はとても重要です。日本と違い、バングラデシュでは成人の識字率が低く 、貧しい人々においては特に顕著です。また貧しい家庭の親たちの多くは共働きのため子どもと過ごす時間をあまり持てず、学校に通い始めた子どもたちの学習サポートを家庭で十分に行うことができません。
バングラデシュでは5歳以下の子どもたちが幼稚園や保育園などの保育施設で就学前教育を受けることが通例となっており、文字の読み書きを学びます。入園した子どもたちには、「字を学ぼう! ベンガル文字の練習ノート」と「私のベンガル語」というベンガル語の教科書が渡されます。施設によっては、他にも学習に必要なノートや消しゴムなどが配布されることもあります。
担任の先生は、園児たちに教科書の使い方や読み書き、国語、英語、数字など学習の基礎を教えてくれるだけでなく、園児の親に対しても家で勉強する時間を増やすよう働きかけてくれます。
スラム街にもこのような保育施設があり、NGOが積極的に関与しています。
首都ダッカ北部のパラビ郡にある、NGOが運営するSSKS 校の保育施設でも園児たちに向けた学習を行っています。SSKS校は一般の住宅街の中にありますが、園児たちの多くはスラム街に住んでいます。全校生徒198人のうち、25人が就学前教育の園児です。2023年1月には新入生が入園し、新学期の授業が始まりました。
入園から約1か月間は、担任の先生が登校簿やランドセルの扱い方、勉強するために必要なノートやペン、消しゴムの準備などを集中的に園児たちに教えます。また、子どもたちが規則正しく通園できるようになり、クラス内でのチームワークを育むためにも、先生は園児たちに積極的に話しかけ、コミュニケーションを取ります。
ベンガル語の授業が始まると、まずは先生がベンガル文字を見せながら、園児たちと一緒に大きな声で読んでいきます。
字を書く練習では「字を学ぼう! ベンガル文字の練習ノート」に従って先生が黒板に手本を書き、園児たちはそれにならって書きます。先生が何度でも字を書き直してくれるので、園児たちは集中して1文字1文字を練習していきます。
読み書きが苦手な園児については、先生たちが互いに協力して丁寧にケアしていきます。
SSKS校のハシ先生は「園児たちと自由で楽しく、フレンドリーなクラスを作ることができて嬉しいです。彼らは小学校へ進むためにこれからも力をつけていくでしょう」と話します。およそ10%の園児は家庭の事情から自宅での復習ができないため、先生たちは彼らが授業内で十分に学べるよう気を配っているそうです。
SSKS校に通うクシちゃんは、母、父、2人の兄、妹の6人で暮らしています。クシちゃんの家族はバングラデシュ北部にある故郷に家を建てるため、2022年にダッカへ出稼ぎにきました。彼女の2人のお兄さんは学校に通わず縫製工として働いています。また、お父さんはリキシャ(三輪タクシー)の運転手です。一家で3人が働いているため、約4万タカ(約5万2000円 )の世帯収入を得られています。
家族みんなで熱心にクシちゃんの学業をサポートしており、専業主婦のお母さんが家でクシちゃんの勉強を見てくれています。
「SSKS校に入って5ヶ月が経ち、友達もできたの。いつも一緒に勉強しているんだ。だから学校に行くのはワクワクするし、勉強も楽しい」とクシちゃんは嬉しそうに話します。
SSKS校の特徴は、就学前の授業を終えたあとも、すべての園児がきれいに正しく字を書けるよう担任の先生が責任を持って最後まで指導してくれるところです。そのおかげで就学前教育を終える頃には、きれいにまっすぐ揃った文字を書けるようになります。さらに園児たちはベンガル文字の他にも、英語やアラビア数字の書き方も日ごろから勉強しており、どちらも基礎からじっくり学んでいます。
子どもたちが字を書けるようになることで、国語や英語など他の科目の勉強がはかどるだけでなく、将来の子どもたちの選択肢を広げていくと、先生たちは考えています。
GENKIプログラムは今後も子どもたちを支援してまいります。
2.2023年4月の活動報告
4月はGENKIプログラム対象校のうち、90校の約6,600人に対し、9万食のユーグレナクッキーを配布しました。
引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い致します。