ユーグレナ社創業のきっかけとなった地、バングラデシュ。ユーグレナ社では、仲間※1がバングラデシュへ行き、現地事業の一部を実際に体験する研修訪問を2019年に開始しました。新型コロナウイルス感染症の影響により、約3年間実施できずにいましたが、ようやく2022年から再開することができました。
再開後2回目となる今回は、2023年1月14日~19日に実施された4泊5日のバングラデシュ研修訪問についてお届けします。普段の業務では直接バングラデシュと関わることが少ない仲間たちが、現地で何を見て、聞き、話し、そして感じたのかをお届けします。
※1 ユーグレナ・グループでは、同じ志を持った社員のことを「仲間」と呼んでいます。

第2編は、難民キャンプのあるコックスバザールから首都ダッカに場所を移し、ソーシャルビジネスの第一人者で、現在も第一線で活躍されるグラミン銀行創設者でノーベル平和賞受賞者であるムハマド・ユヌス博士を訪問しました。ユーグレナ社とも関係の深いユヌス博士と、どのような時間を過ごしたのでしょうか。
第1編はこちら >

行程④: コックスバザールからダッカへ

難民キャンプ視察の翌日。この日は朝からコックスバザールを離れ、本日の目的地であるユヌスセンターへ向かうため、首都ダッカに戻ります。コックスバザールでは、バングラデシュ国内でも特に高いクオリティを誇るLong Beach Hotelに宿泊でき、「もう何日か宿泊したい・・!」という名残惜しさもありながら、朝食後はダッカ行きの飛行機に搭乗するためホテルを出発しました。

Long Beach Hotelの部屋 とても高級感のある内装に別れを告げます
Long Beach Hotelの部屋
とても高級感のある内装に別れを告げます
ビュッフェ形式の豪華な朝食 バングラデシュならではのメニューが幅広く用意されていました
ビュッフェ形式の豪華な朝食
バングラデシュならではのメニューが幅広く用意されていました
比較的小型のプロレラ付き飛行機で移動
比較的小型のプロレラ付き飛行機で移動

バングラデシュらしく そして日本のおもてなしの心のこもったランチ

無事にダッカに到着後、ユヌスセンターを訪問する前にランチタイム。ユヌスセンターの近くには、バングラデシュ人と日本人のご夫婦が経営する「King’s」というレストランがあり、とてもおいしい料理を楽しむことができました。日本人のあさみさんも私たちのテーブルに来てくださり、ひとときの歓談を楽しむことができました。

King’sでいただいた料理 ハートに象られた野菜からおもてなしの心を感じます
King’sでいただいた料理
ハートに象られた野菜からおもてなしの心を感じます

行程⑤:いよいよユヌスセンターへ

お腹も心も満たされた後は、メンバー全員でバングラデシュの伝統服であるパンジャビに着替えていよいよユヌスセンターに向かいます。ユヌスセンターとは、ソーシャルビジネスに焦点を当てたムハマド・ユヌス博士の哲学を普及・促進することを主な目的として設立され、現在はバングラデシュのみならずグローバルに活動する全てのグラミンソーシャルビジネスに関連する活動のワンストップリソースセンターとなっています。※2

※2ユヌスセンターについて:https://www.muhammadyunus.org/post/1113/about-us-jap

現在、バングラデシュで「ユーグレナGENKIプログラム」や難民キャンプ内の食料支援も行っている「緑豆プロジェクト」を現場で支えるのはユーグレナ・グループのグラミンユーグレナ社です。グラミンユーグレナ社は、ユーグレナ社とユヌス博士が設立したグラミンクリシ財団が運営する現地合弁企業であり、ユヌスセンターとも非常に強いつながりを持っています。ユヌスセンターは、首都ダッカの中のミルプールという地区にあり、独立以前の東パキスタン時代から、住宅街と賑やかな商業施設が並ぶ地区で知られています。そのなかでも、ひと際大きな建物がユヌスセンターが入っているビルでした。

ユヌスセンターが入っているビル ユーグレナ・グループのグラミンユーグレナ社のオフィスも入っています
ユヌスセンターが入っているビル
ユーグレナ・グループのグラミンユーグレナ社のオフィスも入っています
ユヌスセンターの入り口 来訪者を暖かな光で歓迎しているように感じました。
ユヌスセンターの入り口
来訪者を暖かな光で歓迎しているように感じました

幸運にも私たちはユヌス博士と対話をする時間をいただくことができました。ユヌス博士といえば、「ビジネス」を通じて貧困問題や社会問題を解決するソーシャルビジネスを、今から約40年前に提唱・確立し、その実績と功績が称えられ2006年にはノーベル平和賞を受賞した偉大な経済学者です。さらに、当時アジア最貧国と呼ばれたバングラデシュで生まれたマイクロファイナンス(小口融資)を行うグラミン銀行の創設者としても知られる人物です。グラミン銀行もユヌス博士とともに、同年にノーベル平和賞を受賞しています。
また、2021年には、国際オリンピック委員会(IOC)よりユヌス博士のソーシャルビジネスとスポーツの関わりを称えられ、東京オリンピックの開会式で「オリンピック月桂冠(オリンピックローレル)」が授与されたことはご存知の方も多いことでしょう。ユーグレナ社の代表である出雲さんは学生時代にユヌス博士と出会ったことで起業を決意したということで、私たちにとっては憧れの対象であり、とても大切な方です。

憧れのユヌス博士との対面(中央におられるのがユヌス博士)
憧れのユヌス博士との対面(中央におられるのがユヌス博士)

ユヌス博士との対話では、今年(2023年)83歳となる年齢をまったく感じさせないエネルギーとパッションに一同圧倒されながらも、今ユヌス博士が考えていること、そして現在進めているソーシャルビジネスについて教えていただきました。私たち一人一人に対して、静かに、しかし同時に気持ちを込めて話すユヌス博士のまなざしからは、必ず平和な社会を実現するという強い決意のようなものを感じました。

グラミン銀行の創設者として知られるユヌス博士ですが、活躍の場はそれだけではありません。実は教育、医療、エネルギー、情報通信など非常に多岐にわたる領域で様々な社会課題を解決する50社以上のグラミン関連企業(グラミン・ファミリー)を経営されていて、ソーシャルビジネスを通じて「貧困ゼロ」「失業ゼロ」「CO2排出量ゼロ」の3つのゼロの世界を実現するために全身全霊で取り組まれています。ユヌス博士からは、社会の課題はそれぞれが密接につながっていて、課題ひとつを解決するだけでは人々が平和に暮らせる世の中を実現することは難しいというメッセージを頂きました。
また、この日は気候変動に関するお話をたくさん聞かせていただきました。気候変動問題を解決するため、産官学連携でさまざまなアクションを実行している姿を見て、まさにユヌス博士は今の時代に求められるリーダーとしてふさわしい方だと感じました。(ユヌス博士が考えるアフターコロナ社会との向き合い方についてインタビューしたこちらの記事もご覧ください)
対話のあと、ユヌス博士にサインをお願いしたところ、快く引き受けてくださりました。常に持ち歩く会社の名刺に入れていただきました。

ユヌス博士からいただいたサイン ユーグレナの仲間として私たちが毎日身に着ける名刺入れに
ユヌス博士からいただいたサイン
ユーグレナの仲間として私たちが毎日身に着ける名刺入れに

行程⑥:グラミンユーグレナ社の仲間のもとに

ユヌス博士との対話の後は、私たちのグループ仲間であるグラミンユーグレナ社のオフィスへ向かいました。グラミンユーグレナ社のオフィスは、ユヌスセンターと同じビルの中に入っています。

グラミンユーグレナ社の仲間たちからの熱烈な歓迎
グラミンユーグレナ社の仲間たちからの熱烈な歓迎
緑が美しく装飾されたグラミンユーグレナ社のエントランス
緑が美しく装飾されたグラミンユーグレナ社のエントランス

日本から遠く離れた地、バングラデシュで私たちと同じ志を持って働く仲間と語り、ワークショップを行いました。濃密な時間を過ごした後は、みんなで国境を越えた懇親会へ。
懇親会では、仕事のことや、プライベートなこと、みんなで実現したい未来についてじっくりと語り合い、働く場所は違えど、目指しているものは同じであることを実感することができました。あっという間ではありましたが、とても充実した時間を彼らと一緒に過ごすことができました。

グラミンユーグレナ社の仲間たちとの懇親会を終えて
グラミンユーグレナ社の仲間たちとの懇親会を終えて

懇親会のあとは、お互いに再会を約束して解散しました。グラミンユーグレナ社の仲間から歓迎のしるしにいただいた花束を手にホテルへ。花束は、部屋に置かれていた花瓶に入れて飾り、しばらく眺めてみます。ユヌス博士とグラミンユーグレナ社の仲間たちと過ごした濃密な時間を思い出しながら、翌日の予定に思いをはせました。

想いのこもった花束を花瓶に入れて水を注ぐ
想いのこもった花束を花瓶に入れて水を注ぐ

翌日は「ユーグレナGENKIプログラム」を実施している学校の子どもたちに会いに行きます。ユーグレナ社は2014年から「ユーグレナGENKIプログラム」を開始し、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つ微細藻類ユーグレナ入りクッキー(ユーグレナクッキー)を無償で配布して栄養問題の解決を目指しています。現在では、1日1万人の子どもたちにユーグレナクッキーを届けており、昨年12月には、配布数が累計1,500万食を突破しました。

明日は、私たち自身の手で子どもたちにユーグレナクッキーを届けに行きます。果たしてどのような子どもたちと会うことができるのか・・・。翌日の出会いに期待と少しの緊張を抱きながら、この日は幕を閉じることとなりました。

最終編に続く >