コロナ禍での食品価格高騰に対するユーグレナクッキーの役割と
ユーグレナクッキー配布再開の学校紹介
【2021年11月の活動報告】

1.2021年11月の活動報告

11月はGENKIプログラム対象校83校のうち73校の約9,100人に対し、19.3万食のクッキーを配布しました。

※1 2021年8月26日付で決算期(事業年度の末日)を毎年9月30日から12月31日に変更するための定款一部変更を 行っており、決算期変更の経過期間となる当期は2020年10月1日から2021年12月31日までの15カ月間の変則決算となります。GENKIプログラムも今期は、2020年10月1日から2021年12月31日までの活動期となります。

2.コロナ禍での食品価格高騰に対するユーグレナクッキーの役割

新型コロナウイルス感染症の影響により、世界中で食品価格、燃料が値上げしています。原料需要急増、輸送コンテナ不足、原油高が主な要因といわれています。

日本では2021年春、食用油や小麦粉、大豆、砂糖などの原料が高騰しました。2022年からは、冷凍食品(約2%~15%)、醤油(約4%~10%)、食肉加工品(約5%~12%)、豆乳(約5%)などが新たに値上げを宣言しており、私たちの生活に影響をおよぼしています。※2

バングラデシュでは、ユーグレナクッキーを製造しているNabisco社から20%購入価格を値上げしてほしいとの依頼がありました。何とか15%の値上げで了解していただきましたが、このような形で我々にも大きな影響が出ています。
現地の日常生活にはどのような影響が出ているのでしょうか?食品は以下のように平均で約25%も高騰しています。

政府は、貧しい人々には配給システムを通じて市場価格より安く食料を販売しています。※3

配給システムは、原則週に1回食料をトラックにのせて彼らの元へ運ばれます。販売時は行列ができるほど購入希望者は多いですが、備蓄不足等から必要な食品を全て入手することが難しく、彼らは市場で食品を購入することも少なくはありません。これによりコロナ禍は貧しい人々がさらに苦しい生活を強いられています。

※2  日本食糧新聞  食品値上げ、80業種へ拡大 原料・コスト事情厳しく 売価上昇不可欠な局面
※3  Dhaka Tribute  Public food distribution for poor decreases

玉ねぎなどをトラックにのせた配給システムの様子
玉ねぎなどをトラックにのせた配給システムの様子
食料を配給システムによって購入するために並ぶ人たち
食料を配給システムによって購入するために並ぶ人たち
食料を配給システムによって購入するために並ぶ人たち

GENKIプログラム対象校でも、大変な思いをしている家庭が多く存在します。ミルプールシャヒーン小学校に通う5年生のシャキル君は、お父さん、お母さん、お姉さん、シャキル君、妹の5人家族です。お父さんは自宅で「バラナシサリー」という豪華な刺繍であしらわれた民族衣装を作っており、お母さんもこの仕事を手伝っています。新型コロナウイルス感染症拡大前、世帯月収は約18,000円でしたが、感染拡大直後は仕事が激減し、月収が約11,000円まで減りました。そのため親族にお金を借りたこともあったそうです。日常生活でできる限り出費を抑えるため、食事の回数を1回減らしたり、シャキル君の好きな卵料理を出す回数を減らしたりと切り詰めた生活をしていました。少しずつ仕事は戻ってきていますが、まだまだコロナ禍以前と同じ状態には完全に戻っていません。

スラム街の家庭では一般的に、栄養バランスのある食事を摂ることより、お腹を満たすことが最優先です。学校の先生はこのように話しています。「ユーグレナクッキーは子どもたちの栄養状態を改善するのと同時に、家計の支えにもなっています。コロナ禍では、ユーグレナクッキーはさらに私たちにとって重要な役割を果たしてくれています。」

シャキル君の家族5人(左からお父さん、 シャキル君、妹、お母さん、お姉さん)
シャキル君の家族5人(左からお父さん、シャキル君、妹、お母さん、お姉さん)
お母さんの仕事の隣で勉強するシャキル君
お母さんの仕事の隣で勉強するシャキル君
バラナシサリーに刺繍を施すお母さん
バラナシサリーに刺繍を施すお母さん

3.ユーグレナクッキー配布再開の学校紹介

2017年9月に開始したユーグレナGENKIプログラムの活動費を一部負担いただくモデルは順調に拡大し、新型コロナウイルス感染症前は合計 25校、約3,900人の子どもたちの登録がありました。

しかしコロナ禍は主な支援者の財政がひっ迫し、合計21校、約3,500人の子どもたちへのユーグレナクッキー配布が中断しました。2019年12月にGENKIプログラムに参加したドエル小学校もその1つです。

ドエル小学校は2010年、創始者のコットンさんと彼の友人たちの寄付により開校しました。彼は貧しい子どもたちに是非善悪の判断ができるようになってほしい、人として大事な知識を身につけてほしいとの思いから、そのために必要な教育を提供する学校を設立しました。

その後子どもたちの数を増やすため、Help for Deprived Bangladeshという貧しい子どもたちを支援する組織から支援を受けることになりました。同組織は、子どもたちへの栄養支援を検討していました。そんな中GENKIプログラムの現地スタッフから説明を受けたことから、コットンさんと一緒に2019年にプログラム導入を決めてくださいました。

しかしコロナ禍で同組織の支援者の多くの経営状態が悪化したことで、支援金が減りGENKIプログラムを中断せざるを得なくなりました。コットンさんは新たな支援組織を探す中でCharity Rightという大きな組織と関係を構築することができました。Charity Rightは、世界保健機関(World Health Organization)などの国連機関と繋がりがあり、イギリス、ギリシャ、スーダン、ソマリア、エリトリア、インドネシア、バングラデシュなどで活動する国際的な組織です。

Charity Rightとコットンさんとの面談には当社現地スタッフも同席し、GENKIプログラムのこれまでの実績、活動内容などを説明しました。GENKIプログラムの意義、プログラムを継続したいというコットンさんの強い思いが通じて、Charity Rightからの支援が決定しました。子どもたちも約1年ぶりのクッキー配布再開を喜んでくれています。他の中断していた学校でも新たな支援者を探すことで、2021年11月末時点で、合計 25校、約3,900人の内、約90%の23校、約3,500人の子どもたちへユーグレナクッキー配布を再開することができました。今後も多くの学校で配布を継続できるよう、学校関係者、支援者の方々のご協力をいただき活動して参ります。

コットンさんとドエル小学校の子どもたち
コットンさんとドエル小学校の子どもたち
教室での子どもたちの様子
教室での子どもたちの様子
学校から提供されたリュックサックを背負い、悪路を通学する子どもたち
学校から提供されたリュックサックを背負い、悪路を通学する子どもたち
ユーグレナクッキーを食べる子どもたち
ユーグレナクッキーを食べる子どもたち
ユーグレナクッキーを食べる子どもたち

引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い致します。