国際ガールズ・デーの取り組みと
GENKIプログラム拡大を支えるハリムさんの紹介
【2021年10月の活動報告】

1.2021年10月の活動報告

10月はGENKIプログラム対象校79校のうち65校の約8,800人に対し、16.7万食のクッキーを配布しました。これにより、GENKIプログラム開始から累計で1,200万食配布を突破しました。

※1 2021年8月26日付で決算期(事業年度の末日)を毎年9月30日から12月31日に変更するための定款一部変更を 行っており、決算期変更の経過期間となる当期は2020年10月1日から2021年12月31日までの15カ月間の変則決 算となります。GENKIプログラムも今期は、2020年10月1日から2021年12月31日までの活動期となります。

2.国際ガールズ・デーの取り組み

10月11日は「国際ガールズ・デー(International Day of the Girl Child)」とされていますが、皆さんはこの日をご存知でしょうか? 2011年に国際連合により定められた日であり、「女の子の権利」や、「女の子のエンパワーメント」の促進を、広く国際社会に呼びかける日となっています。※2

今回は、日本とバングラデシュを取り巻く女性の環境について紹介いたします。2021年3月に、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が「Global Gender Gap Report 2021」を公表し、各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数を発表しました。※3

※2 プランインターナショナル 国際ガールズ・デー(10月11日)
※3 World Economic Forum  Global Gender Gap Report 2021

このレポートでは、対象国156国中、日本は全体で120位となりました。個別で見ると、教育(92位)、健康(65位)は比較的順位が高いのですが、政治(147位)、経済(117位)は著しく低い結果となっています。一方で、バングデシュは、全体で65位と、驚くべきことに日本より高い結果となっています。個別では、教育(121位)、健康(134位)、政治(7位)、経済(147)です。政治が極めて高い理由は、2009年より3期目の首相を務めているシェイク・ハシナ首相の影響が大きいといわれています。

首都ダッカにおいては徐々に変化しつつありますが、バングラデシュでは今でも男性は教育を受け働くこと、女性は結婚し家庭を守ることが重要であるという価値観が根付いています。教育の環境改善において、政府は女の子たちへの奨学金を増やしたり、女性教員の数を増やしたりなど具体的な政策を進めています。※4また、国際ガールズ・デーにあわせ、女子生徒たちの教育の可能性や権利を高めるための活動をするよう、学校に推奨しています。

※4 Dhaka Tribute  National Girl Child Day on Tuesday

GENKIプログラム対象校のアパラジェオ学校では、主に高学年の女の子たちを中心に、週3回程度放課後に裁縫訓練を提供しています。子どもたちはミシンの使い方や裁断方法を勉強し、1人で洋服を作る勉強しています。また、新型コロナウイルス感染症の影響で中断していたパソコン教室も再開し、男女ともに参加する予定です。

 また国際ガールズ・デーをお祝いした同校では、子どもたちがこの課外授業の様子を参加者の子どもたちに紹介したり、絵画コンテストでは男女ともに得意の絵を描いたりしました。裁縫の様子を紹介した中学校1年生のナギスちゃんは、自身の家庭についてこのように話してくれました。「父親が病気で働きに出られず、お母さんの家政婦の仕事のみで家計を支えています。進学できるか分からない状況なので、裁縫技術を身に着け、将来は縫製工場で働けるようになりたいです。」絵画コンテストに参加した中学1年生のラッセル君は、「同級生の女友達が、”女の子“であることを理由に将来をあきらめることになってしまうことは、とても心が痛い」と話をしてくれました。

一般的に女の子は、家庭の事情や児童婚を理由に退学せざるを得ないケースもありますが、先生は、学校では男女隔てなく平等に勉強する機会を今後も与えていきたいと考えています。

ミシンを使って洋服を縫う様子を友達に紹介
ミシンを使って洋服を縫う様子を友達に紹介
洋服の裁断が完了したナギスちゃん
洋服の裁断が完了したナギスちゃん
男女一緒の絵画コンテスト
男女一緒の絵画コンテスト
絵を描くラッセル君
絵を描くラッセル君

3.GENKIプログラム拡大を支えるハリムさんの紹介

今月は、Center of Zakat Management(CZM)というNGOでGENKIプログラムを支えて下さっているハリムマネージャー(37歳)を紹介いたします。

ユーグレナクッキーを子どもたちに配布するハリムさん
ユーグレナクッキーを子どもたちに配布するハリムさん

CZMの’Zakat’とは、イスラム教の五行の1つで、困窮者を助けるための喜捨を指しています。この教えにより、CZMは主に国内外からの多くの寄付で、貧しい人々への教育、健康面のサポートをしています。GENKIプログラムには、2019年11月より参加して下さっており、活動費の一部を負担いだいています。

現在は21校 合計 約2,000人の子どもたちにユーグレナクッキーを配布していますが、ハリムさんの協力なしではこの拡大はあり得ませんでした。

両親ともに学校の先生であり、土地を保有している裕福な家庭で生まれ育ったハリムさんは、小さいころから両親が貧しい人たちへ寄付活動をするのを間近で見てきました。その影響を受けた彼は、大きくなってから、自ら食べ物や洋服を貧しい人たちに配るようになりました。

この活動が彼の日常となった高校生の時、ハリムさんは今でも忘れられない体験をしました。ある日、近所に住んでいた知り合いの家族のお父さんが、交通事故で亡くなってしまいました。小さい年齢の子どもが4人おり、お母さんが1人で家族を支えていかなければならない状況になりました。彼はその時こう思いました。「人生何が起きるかは分からない。今自分が置かれている環境に感謝し、自分ができることをやり続けよう。」その後、彼は両親のサポートを得ながら、この家族に食事や洋服を届け続けました。彼は今でも、ライフワークとして寄付活動を続けています。

ハリムさんは2016年からCZMが運営する学校のサポートをしています。「マドラサ」と呼ばれるイスラム教育に重点をおいた学校の9割は寮が併設されており、生活する子どもたちの多くが孤児です。教育だけではなく、子どもたちの栄養や健康を改善したいと考えていたところ、GENKIプログラムのことを知りました。毎日ユーグレナクッキーを子どもたちが食べることで彼らが元気に成長してくれることを期待し、GENKIプログラムの導入を決めて下さいました。

CZMでは、GENKIプログラムを導入していない学校は約25校ありますが、予算の許す限り、多くの子どもたちにユーグレナクッキーを配布できるよう対象校を拡大したいとハリムさんは仰っています。

子どもたちにユーグレナクッキーを渡し、会話をする時間を大事にするハリムさん
子どもたちにユーグレナクッキーを渡し、会話をする時間を大事にするハリムさん

このようにGENKIプログラムは、ハリムさんを始め多くの関係者のご協力によって活動を続けております。

引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い致します。