3月12日、神奈川県立川和高校(横浜市)で、世界の国々の栄養問題を解決に導くために、SDGsの観点から微細藻類ユーグレナを使った新商品を英語で提案するという授業が開催されました。
川和高校のこの取り組みはプロジェクト学習の一環です。プロジェクト型学習(別名:課題解決型学習)とは、特定の科目を勉強するのではなく、プロジェクトや目標達成のために取り組む学習方法のこと。結果よりも目標実現へ向けた努力する過程を大事にする教育法で、近年、多くの教育機関で導入されています。
この日は、2年生の各クラスの選抜、全8チームが英語でプレゼンテーションを実施しました。No.1に選ばれたチームは?
■コラボのきっかけは「英語の教科書」
今回のプロジェクト学習の発案者は川和高校の英語科教諭・福田理奈さん。高校のある横浜市には、ユーグレナ社のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントがあり、またそこで製造されたバイオ燃料を使ったバスが横浜市内を走っていることから、もともとユーグレナ社のことを身近に感じていたそうです。そんな中、2年生の英語の教科書(※)に、ユーグレナ社の創業ストーリーやバングラデシュの栄養問題を解決に導く「ユーグレナGENKIプログラム」が載っていたことがきっかけで、より関心が高まったといいます。
また、川和高校では、普段からSDGsに関する学習に力を入れていて、今回、「社会の課題解決に繋がるようなプロジェクト型学習を実施したい」とユーグレナ社に提案があり、コラボ授業が実現しました。
■栄養問題を解決に導くような新商品を!
生徒に与えられたミッションは、途上国の栄養失調に苦しむ人々や栄養問題を抱える人々を救うための新たなユーグレナ入り商品を考え、ユーグレナ社に英語で提案すること。「GENKIプログラム」のユーグレナ入りクッキーのような食品の考案です。支援しようとする地域の現状を調べ、栄養面、味、食べやすさ、コストなどさまざまな点を考慮して新しい企画を考えました。
■地域の現状に寄り添った発想力豊かな提案の数々
3月12日、いよいよプレゼン本番。各クラス代表の全8チームが、審査員となるユーグレナ社の担当者の前で発表します。そのうち1人は偶然にも川和高校の卒業生!コロナ禍ということもあり、プレゼンするチームだけが審査員のいる図書室に集まり、他の生徒たちはオンライン配信される様子を各教室から見守りました。
新しい商品を考案するのに特にこだわった点は、支援しようとする地域の「現状と食文化に合う」食品にしたこと。いくら栄養価が高くて良い食品でも、現地の食文化に合わなければ、日常的に食べてもらえない可能性があるからです。栄養改善を目指すためには重要なポイントです。
各チームで支援したいと思う国の経済状況や生活環境に合わせた商品案が発表されました。商品名や見た目へのこだわりだけでなく、相手に寄り添った良い案ばかりでした。
■No.1はトレンドとビジネスの両方を取り入れた持続性のある提案に
いよいよ結果発表です。ベスト商品は・・・インドネシアを支援しようと考案された食品、ケチャップにユーグレナを混ぜた調味料『ケチャグレナ・マニス』に決定!商品案はもちろん、テレビショッピング風のプレゼンも好評でした。
考案したチームはインドネシアの食文化が欧米化していることに着目。現地では「ケチャップ・マニス」という甘い調味料ソースが流行っていることを突き止めました。普段使っている調味料にユーグレナを混ぜれば、手軽に栄養補給できるのではないかと考えたということです。
どのチームも単純に栄養問題の解決だけでなく、廃棄物の少ないパッケージの使用や雇用を生み出すシステムの導入などサステナブルな商品提案ばかり。その中でも、地域の経済力・特性を考慮しつつ、ビジネスとしても成り立つことで、持続可能な提案を出したチームがNo.1に選ばれました。
選ばれたチームの生徒は、「どの国を支援しようかと色んな国の状況を調べていく中で、SDGsで掲げられている目標が私たちにも密接に関わっていることが分かりました。支援と言っても、貧困問題を解決するのか、栄養問題を解決するのかで方法が変わります。物事を多角的にとらえて考えるいい機会になりました。」と話していました。
※川和高校で採用している英語の教科書は 「啓林館 改訂版 ELEMENT コミュニケーション英語 Ⅱ」。
ユーグレナ社については「Lesson 10 Euglena」に記載。
文/長麻未