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先端科学研究所​Advanced Science Research Institute

研究内容

新しい有用微細藻類の探索や遺伝子工学技術を利用した品種改良、次世代での利用を見込む培養方法の開発など、微細藻類の新たな用途開発を目指した研究を実施しています。また、大学や他社との共同研究を通して先端科学・技術を取込むことで、新素材開発、商品価値の向上、生産コスト低減などに幅広く貢献することを目指しています。さらに、将来的な活用を期待して、低軌道衛星での微細藻類ユーグレナの培養実証、宇宙での微細藻類培養による資源循環方法の検討、硫黄化合物の網羅的分析技術の応用開発など、派生した内容の研究も実施しています。

所長メッセージ

微細藻類の大量培養、品種改良、そして生産した藻体の商品化のノウハウは当社の強みです。先端科学研究所では、それらの強みを強化しつつ、新たな活用方法の創出を主課題とします。特に、微細藻類の品種改良については、これまで技術的に難しかったことが実現可能な時代になったと感じており、我々としても実用的な品種改良を推進し、様々な場面で利用可能な藻類株、及びその株に特化した培養方法を提供していきたいと考えています。微細藻類は光合成をすることから、他の既に産業利用されている従属栄養生物とは異なるユニークな代謝系を保持し、栄養素も豊富です。この微細藻類が備えている特徴を生かした先端的利用方法を提案していきたいと考えています。

先端科学研究所
所長 山田 康嗣

研究事例紹介

ユーグレナゲノム編集技術の活用

ゲノム編集により作出したユーグレナ

理化学研究所との共同研究において微細藻類ユーグレナのゲノム編集技術が完成し、ユーグレナのゲノムを自在に書き換えることができるようになりました。この技術を活用することにより、自在にユーグレナゲノムを改変できるようになり、様々な品種改良株の作製を試みています。

研究内容

微細藻類ユーグレナで実現した品種改良技術では、RNAとタンパク質の複合体を導入するゲノム編集であるにもかかわらず、処理したユーグレナ集団の70%以上の細胞が改変されるため、非常に高効率です。このことから、見た目に変化が現れないようなゲノム改変も容易に実施することが可能です。また、大きな欠失領域の導入や、短い外来DNA配列の導入など、応用的な手法の適用も実現しています。

論文発表時のリリースはこちら

作製した株を産業利用するためには、まだまだハードルがありますが、油脂生産性が高い株、飼料としての価値が高い株、有用成分を高蓄積する株などの作製を目指して研究開発を実施しています。

ゲノム編集によるDNA塩基配列改変のイメージ

ユーグレナの硫黄化合物代謝の分析

油脂生産時にユーグレナから発生する原因不明の臭い

微細藻類ユーグレナが油脂生産する際には、硫黄化合物に由来すると考えられる臭いが発生しますが、これまでに知られていいた代謝経路ではこの現象を説明するには至っていませんでした。これを明らかにするために、硫黄化合物代謝の分析を実施しました。

研究内容

硫黄代謝系は、解糖系やTCAサイクルなど中枢代謝系に付帯して存在し、構成する化合物数は少ないですが、解析することで非常に重要な情報を提供してくれます。我々の保持する特許技術でもあるサルファーインデックスを利用することで、これらの硫黄代謝系の化合物量、及び生物の酸化還元状態を強く反映するポリスルフィド化合物量の情報を得ることができます。
微細藻類ユーグレナは環境中の酸素が足りなくなった際にワックスエステル形態で油脂を蓄積しますが、このときの細胞内状態をサルファーインデックスにより分析すると、グルタチオンやタンパク質が分解され、供給された硫黄化合物が代謝されていく様子が観測されました。これにより、ユーグレナが油脂生産をする際に発生する臭いの原因の一端が明らかになり、今後の生産工程の改善、及び品種改良方法の提示につながることが期待されます。

論文発表時のリリースはこちら

油脂生産時にユーグレナ細胞内で起こる
硫黄化合物代謝の変化

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