世界におけるバイオ燃料の普及と
日本の状況
2015年9月に国連サミットで制定されたSDGsでは、「GOAL13:気候変動に具体的な対策を」が掲げられています。また、2015年12月に国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)で合意された、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」では、2030年までにCO2を主とする温室効果ガスの排出を2013年の水準から26%削減することが日本の目標となっています。
そのような中、日本も加盟する国際民間航空機関(ICAO)では、2016年総会にて、2020年以降CO2排出量を増やさないことが加盟国間で合意され、その対策として有望視されているバイオジェット燃料の導入は、米国、EU主要国、カナダやオーストラリアのほか、シンガポール、タイ、中国やインドといったアジアの国々で進んでいます。
On the other hand, in Japan, the introduction of bio-jet fuel has been delayed for major countries in the world.
Regarding biofuels for automobiles, the target is about 18% * 1 by 2022 in the United States and 10% by 2020 in EU countries, and the goal is to use it as a breakdown of all automobile fuels * 2, but Japan. By 2022, the target for introducing biofuels to replace gasoline and diesel is only a few percent * 3 per year.
※1:米国のバイオ燃料導入目標は、2022年に360億ガロンと設定されており、当社試算によると米国の輸送用燃料全体の約20%にあたる。
※2:「平成26年度石油産業体制等調査研究 (バイオ燃料に関する諸外国の動向と持続可能性基 準の制度運用等に関する調査)報告書」
(株式会社三菱総合研究所)より。
※3:「バイオ燃料の導入に係る 高度化法告示の検討状況について」(資源エネルギー庁 資源・燃料部 政策課)より。
日本初のバイオジェット・ディーゼル
燃料製造実証プラント(2024年1月末をもって稼働終了)
世界でバイオ燃料の導入が進む中、ユーグレナ社では、国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化計画(以下「国産バイオ燃料計画」)の始動を発表しました。そして、2017年6月1日に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料の実証プラント建設に着工し、2018年10月31日に竣工を迎えました。
2019年春より稼働し、2020年3月に次世代バイオディーゼル燃料、2021年6月にバイオジェット燃料の初供給を実現しました。また、原料については、使用済み食用油を中心としつつも、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の原料活用にも成功いたしました。その後は「陸・海・空」の全領域において供給先の拡大に取り組み、バイオ燃料供給事例は2023年末時点で93件まで拡大しました。
これらの実績を通じて、バイオ燃料の安全性・実用性の証明、バイオ燃料製造・供給に関する知見や経験の蓄積、商業化後を見据えたバイオ燃料供給先の開拓といった本実証プラントの建設時点に掲げた目的は、全て成功裏に達成できました。
一方、実証設備として設計されたプラントであるため、製造量の増加や製造コストの削減は、設計上の制約から限界があり、今後拡大が見込まれる継続利用ニーズに応えていくこともまた、困難な状況となっていきました。
このように、実証プラントが建設当初の目的を十分に達成した一方で、国内におけるバイオ燃料の継続利用ニーズに応えていくためには、海外パートナー企業等から調達したバイオ燃料販売にシフトする必要があることを受け、本実証プラントは、2024年1月末をもって稼働を終了いたしました。